「安全運転 私の好きな行動です」 シン・ウルトラマンのメフィラス構文で書かれた電光掲示板が話題に 「さすが我らの熊本県警」と見た人から絶賛の声

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「走ってたら電光掲示板が変わってた!メフィラス星人…」

道路に設置され、交通安全を呼びかける電光掲示板。事故や違反を防ぐため、おカタい文章が書かれている印象がありますが、土曜の夜に熊本市内の国道3号線沿いをランニングしていた、まじんさん(@mazinhimazin)は、面白い文言が書かれた掲示板に遭遇。その時の写真をTwitterに公開したところ、5万近くのいいねを獲得する話題となりました。

「安全運転 私の好きな行動です」「あおり運転 私の苦手な行動です」

これらの文言は明らかに、今年5月より公開され大ヒット中の映画『シン・ウルトラマン』に登場する外星人・メフィラス(メフィラス星人)のセリフをモジったもの。

劇中では、山本耕史さん扮するメフィラスが、ことわざや慣用句などの格言を引用した後で、「私の好きな言葉です」、「私の苦手な言葉です」などと言う場面が印象的です。それらは「メフィラス構文」とも呼ばれ、ネット上でも多くの方にネタとして引用されています。

実は、熊本県内では、このような一風変わった文言を掲示する電光掲示板が、度々ネットなどで話題になっています。今回は、「ウルトラマン」というちょうどタイムリーなネタが披露され、注目を浴びました。

掲示板を紹介したまじんさんのツイートのリプ欄にも、多くの反響が。

「今日、仕事で熊本市内に行った帰りに電光掲示板を見ました。私の第一声は『絶対熊本県警の誰か、シンウルトラマン観てきただろう』でした」
「私も朝見ました。流行りに乗っかる熊本県警…って思いましたね」
「県警はもうメフィラスの手中に収まってしまったのですかね…」
「そんなにメフィラス構文が好きになったのか熊本県警」
「これは煽り運転したらメフィラス星人に連れていかれるなw」
「さすが我らの熊本県警。絶対にやると思ってた」

このように、掲示板の管轄である熊本県警のセンスを絶賛する声が多数寄せられています。

まじんさんにお話をおうかがいしました。

――今回の電光掲示板について、まじんさんが面白いと思ったポイントは?

まじんさん:『シン・ウルトラマン』の中でもメフィラス星人のセリフを引用しているところです。ウルトラマンの話題なら他にも誰もが知っているような引用の仕方もあったかもしれませんが、今回のものは『シン・ウルトラマン』を観た人でないとわからないものだと思います。また、Twitter等でも映画を観た人たちがこのセリフを面白おかしく言い換えて拡散していますが、それと同じことを県警の方がされているのも面白いと思った点です。

――今回のメフィラス構文のもの以外にも、付近でこのような面白い電光掲示板を見たことはありますか?

まじんさん:家の近くにも電光掲示板があるのでよく見ます。パッと思い出すのは、サッカーの大迫選手の「半端ないって」を引用したものです。こちらもネットでよく使われるセリフだったので覚えています。

――他の地域で、このような面白い掲示板を見たことはありましたか?

まじんさん:記憶はないですね。もしかしたら見ているのかもしれませんが、記憶に残っていないということは、おそらく熊本県警さんほどの印象がなかったのかもしれません(笑)。

――リプ欄でも多くのおもしろ掲示板が紹介されていましたね。

まじんさん:ほとんどそういえばあったなと見覚えのあるものが多く、お笑い芸人のぺこぱさんの「時を戻そう」というネタを引用したものは実際に見ましたし、好きな感じでした。お笑い芸人の方々の引用は面白いものが多いので好きですね。

おもしろ掲示板の意図は?熊本県警に話を聞いた

まじんさんも語られているように、熊本県ではさまざまな流行や著名人のネタを取り入れて、電光掲示板の文言を作成しています。

熊本県警察本部によると、電光掲示板に面白い文言を入れる取り組みが行われるようになったのは、平成25年(2013年)から。現在、文言は「熊本県内の主要幹線道路等の約50か所に設置された交通情報板」で表示されているとのこと。

ただし、交通情報板については、「渋滞情報等をドライバーに伝えることが主な目的の交通安全施設で、表示する『渋滞情報』等がないときにだけ、交通安全啓発情報を表示しています」とのことで、もちろん常に面白ネタばかりが表示されているわけではありません。

また、同県警はTwitterでの情報提供にも積極的。お知らせやお役立ち情報のほか、面白ネタも更新し、2022年6月現在、フォロワー数は7.3万人という人気アカウントになっています。

同県警の交通事故防止対策室の担当者であり、公式Twitterの更新も行われている「7代目(‘◇’)ゞ」さんに詳しい話をおうかがいしました。

――面白い文言を作ろうと思ったきっかけや目的を教えてください。

「7代目(‘◇’)ゞ」さん:最初の担当者が、悲惨な交通事故を1件でも減らしたいとの強い思いから、従来の決まり文句の繰り返し的な呼びかけでなく、運転手等の記憶にとどまる内容での広報啓発方法を検討しました。その結果、流行語や方言等を取り入れるようになったとのことです。最初の担当者は、初めての取り組みであり、苦労されたと思います。

――今回のメフィラスをはじめ、ネタはどこから仕入れているのですか?

「7代目(‘◇’)ゞ」さん:交通安全の意識を皆さんに高めていただくため、幅広い世代が興味を持っている情報がないか、常にアンテナを高くして新聞やニュースを確認しています。また、担当者だけではアイデアの限界があるため、県警内の他部署に勤務する同僚の知恵も借りています。今回のメフィラスのネタも、他部署の職員から原案(アイデア)があり、部内での検討(決裁)の結果、決定しました。

――署内のたくさんの人たちと協力しながら作っているのですね。

「7代目(‘◇’)ゞ」さん:部署の垣根を越え、アイデアを提供してくれた、同僚には感謝するとともに、ウルトラマンの世界ではありませんが、違う立ち位置にいる者同士が助け合うことの大切さを日々感じています。

  ◇  ◇

また、熊本県警の公式Twitterでは、「地球上の交通事故を防止するため、期間限定で熊本県警に助っ人が来てくれました!?」と、“目府伊羅酢”という“メフィラス”とも読めそうな名が書かれた名刺も公開。

その件についても「7代目(‘◇’)ゞ」さんにおうかがいしたところ、以下のような回答がありました。

「“新人の巡査が、我々『熊本県警察本部交通部交通企画課』の『交通事故防止対策室』の室員として助っ人に来た”という設定で、某人気特撮映画に出てくる一つのシーンをオマージュさせていただきました」

また、名刺を作成した目的については、交通事故を減らすことを一つとしながらも、「流行に敏感な若い世代の耳目を集め、ぜひ一人でも多くの若者に警察官採用試験を受験していただき、我々の仲間になっていただきたいという願いも込めています」とのこと。そのうえで、「職場に外星人が潜入し、担当を洗脳し仲間を増やしたいわけではないと信じております!?」と念を押されていました(笑)。

警察官採用試験に関する詳しい情報は、熊本県警察の公式サイトをご確認ください。

■まじんさんのTwitterはこちら→https://twitter.com/mazinhimazin

■熊本県警察本部の公式Twitterはこちら→https://twitter.com/yuppi_KK

■熊本県警察の公式サイトはこちら→https://www.pref.kumamoto.jp/site/police/

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