生まれたばかりの子猫の遺棄 5匹がビニール袋に詰め込まれ、保冷バッグに…口を開いたまま死んだ子猫も「遺棄した人が本当に憎い」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「【へその緒がついたままの赤ちゃんをビニール袋に入れ、更に保冷バッグに入れて遺棄した人に届け!】
絶対に生きられない状況で捨てるなら無責任に産ませるな
ママ猫は命がけで産んで、今頃、張ったお乳で鳴いてます。
亡くなった3匹の仔猫は苦しんだ顔でした。生き延びた2匹も先は見えません!」

5月下旬、福岡市内でへその緒がついたままの5匹の子猫が遺棄されたことが分かりました。子猫たちはビニール袋に詰め込まれていた上、さらに保冷バッグの中に入っていたそうです。5匹のうち3匹は既に死んでいました。(※閲覧注意・子猫の遺体の写真も掲載されています)

知人から連絡を受けて駆け付けた保護ボランティアのちまきなころんさん(@chimakinakoron)は、当時を振り返り「ビニール袋に入れた子猫をさらに保冷バッグに入れるなんて信じられません。明らかに死なせるために取った行為としか考えられません。残念ながら3匹の小さな命は助けられませんでしたが・・・2匹の子猫は一時危険な状況ではありましたが、今は生きようと必死に頑張っています。遺棄した人が本当に憎い。警察に届け出ましたし、遺棄は犯罪であることを十分に知らしめたいです」と話します。

福岡の商業施設駐車場で子猫を発見 「3匹は苦しそうな顔で亡くなっていた」

ちまきなころんさんによると、遺棄されたのは5月23日とのこと。福岡市の商業施設駐車場の植え込み部分に、ビニール袋に詰め込まれた状態で子猫5匹が保冷バックに入れられて遺棄されていたといいます。

駐車場のカートなどを整理する従業員さんが見つけ、商業施設に届け出。そこで、商業施設の店長が中身を確認したところ、子猫が見つかりました。その後、ちまきなころんさんの知人で地域猫活動に取り組む従業員さんを通じて、ちまきなころんさんのところに連絡が入ったそうです。

「袋の中は熱気と湿気で濡れていて子猫ちゃん3匹は苦しそうに口を大きく開けて、亡くなっていました。痛たまれません。かろうじて息のある2匹の子猫ちゃんを他の従業員さんがお湯を入れたペットボトルで温めてくれ、段ボール箱へ移し替えてくれました。

その従業員さんが、ペットボトルにお湯を入れて温める方法を知っていたおかげで、命が救えました。本当に運が良かったと思います。ただ、従業員さんがスポイトでミルクをあげたものの飲む力もなく、ぐったりした状態でした」(ちまきなころんさん)

生き残った子猫は生後1、2日ほど 危篤状態だった

ほぼ危篤状態の子猫たち。ちまきなころんさんは、すぐに動物病院に連れて行きました。獣医師によると、2匹の子猫たちは生まれて間もない生後1、2日ほど。けがはないものの、かなり危険な状態で「入院しても、生きられるか分からない」と告げられたといいます。

そんな子猫たちを助けたいという一心で、病院側に「母乳が出る子いませんか?」と尋ねたところ、授乳中のママ猫を保護主から預かっているとのこと。保護主から許可を得て、ママ猫が2匹の子猫たちに母乳をあげることになりました。

2匹は、茶色(雄)とサビ(雌)の子猫。一時は危篤状態でしたが、今はママ(継母)猫の純粋でまっすぐな愛情に包まれて元気にすくすく育っているとか。ママ猫も体重測定などで看護師さんが子猫を取り上げると、「返せ~取るな~」といっているように鳴くそうです。

遺棄は犯罪「1年以下の懲役刑など、厳しい罰則があることを知ってほしい」

あらためて、今回の遺棄についてちまきなころんさんはこう訴えます。

「今回はたまたま幸運が重なって2匹の子猫たちの命は救われました。だからといって、捨てたら誰かが救ってくれるわけではないことを理解してほしいです。飼い猫だけじゃなくお世話をしている外猫も責任を持って避妊手術をしてあげること、飼い猫は完全室内飼い、終生飼育、不幸な猫をこれ以上増やさないための元栓を閉める仕組みで、今の時代にあった令和の猫の飼い方をすること。お外の猫がかわいそうだと餌を与えるだけの人が、結局は不幸な猫を増やしていることに気付くこと。

遺棄(置き去り)は犯罪なので、厳しい罰則があることも含め知ってほしいです。また団体や個人ボランティアに丸投げじゃなく、見捨てるわけでもなく『自分が何ができるか、自分にできることをプラス1つの挑戦』の精神で一緒に救っていけたらと思います」

ちまきなころんさんは、もともと重度の猫アレルギーで犬派だったとか。犬の散歩をしていたらどこからか子猫の声が…と、次から次へと目の前に猫たちが現れるように。また、社会問題となっている高齢者多頭飼育崩壊で殺処分予定の猫37匹を保護し、今に至ります。

飼い猫などの遺棄。2020年6月に施行された改正動物愛護法により、飼い主がペットを捨てた場合、これまで100万円以下の罰金刑だけでしたが、1年以下の懲役刑が加わり、厳罰化されました。犯罪です。小さな命を捨てないでください。

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■Twitter:「ちまきなころん」(@chimakinakoron)
https://twitter.com/chimakinakoron

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