ダイエー、サティ、ジャスコ…様々な変遷を経てきたイオンのファンアートに、当時を懐かしむ声が続出

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「イオンのファンアートです」

木林きききさん(@hageourzee)が描く、イオンの看板のイラストがTwitter上で話題になっています。

大手流通企業グループであるイオングループが運営し、日本を代表する総合スーパー、スーパーマーケットであるイオン。以前にはダイエーやサティ、ジャスコなど多くの店舗ブランドがありましたが、運営会社の商号変更や他店の運営会社の吸収合併などにより、これらの店舗ブランドは消滅や店舗数の減少を余儀なくされました。

そんな時代の移り変わりを、木林さんはイラストで見事に反映しています。

ダイエーやサティ、ジャスコの表記が消され、イオンになった看板。しかし、消されたといっても、名残を惜しむようにうっすらと残っている文字。過ぎ去った時代を物語っているようで、もの悲しさも覚えますね。実際に同様の看板を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

このような木林さんのイラストに、多くの方が反応。

「めちゃくちゃ懐かしい物見ましたw」
「こういうかつての名残大好きです」
「絶対うっすら見えるのよね笑」
「平成の1桁の頃って、まだバブルの名残があって、重厚な木製の造りのお店が沢山あって。子供心に、田舎の街に、オシャレなお店が沢山来てくれて、すごく嬉しかったのを思い出します」
「我が町のSATYはまさかの市役所に転職しましたw」
「うちの地元のSATYは完全になくなって駐車場になってました…」

リプ欄では、昔の店舗やその時代を思い出して懐かしむ方が続出。また、イラストの構図からロート製薬のCMを思い出して、「鳩を飛ばしたい」という声も。

さらに、「忠実屋」や「ポスフール」といった、他の店舗ブランドの名前を挙げる方もいました。木林さんはこれらの声にも答え、さまざまな店舗のロゴを描いたファンアートも作成。こちらも多くの方々から反応がありました。

 「『◯◯も懐かしい』というコメントがたくさん届いており、全国にたくさん愛されるお店があったのだなぁと感慨深いものがありました」(木林さん)

木林さんに詳しくお話を聞きました。

――今回、なぜイオンの作品を作ろうと思ったのでしょう?

木林さん:いつもの何気ないらくがきのつもりでした。ですが、思い返せば弟との会話で、地元近くのジャスコとサティの話題が出たので、それがきっかけだったと思います。その時に、以前の店舗の名残がうっすら残っている看板の風景を、無意識に思い出したのかな、と。

――リプ欄でも多くの方が懐かしの店舗名を挙げていましたが、木林さん自身は馴染みのあったお店などはありましたか?

木林さん:ジャスコです。高校生の時によく通っていました。といっても当時にはもう名称がイオンになっていたのですが、みんなジャスコと呼んでいましたね(笑)。

――店舗名が変わっても、昔から呼びなれた名称は変えにくいですよね。私の地元でもダイエーがイオンに変わりましたが、未だにどこかなじめません(笑)。ちなみに、その店舗にはどのような思い出が?

木林さん:音楽系の部活に入っていたのですが、楽器屋さんが入っていたので、みんなで楽譜を買いに行ったり、フードコートで打ち合わせをしたりしていました。でも、数年前に一度取り壊され、新しくオシャレなイオンに建て替えられてしまい、当時の面影はなくなってしまいました。当時の風景が、今となっては懐かしいですね。

  ◇  ◇

時代の移ろいを反映させ、多くの方に懐かしい気持ちを呼び起こしたイラストを作成した木林さん。現在は、牛農家として働きながら漫画の活動を行っています。

木林さんは、もともと絵を描くのが好きで、小学生の頃から自由帳にイラストや漫画を描いていたそうです。なぜ、畜産業を行うことになったのでしょうか。

当時、大阪に住んでいたという木林さん。しかし、中学の頃にお父さんが倒れたり、宮崎で畜産をやっていた祖父母のところの牛が伝染病で全頭殺処分をせざるを得なくなったりと、立て続けに不運が続いたそうです。

「大阪の芸大で絵を学びたいとも思っていたのですが、弟妹が下に3人いましたし、家族に迷惑をかけるよりは…と思い、宮崎で畜産を再開していた祖父母のもとで働くようになりました」

家族のことを考え、祖父母のもとで畜産をはじめたという木林さん。木林さんの育てる子牛はセリ場を通じて全国に出荷され、高級牛として取引されることもあるそうです。

ですが、木林さんは自身の夢を完全に諦めたわけではありませんでした。祖父母に「そんげなこつ(そんなこと)しよるなら仕事しろ!」と言われながらも、細々と趣味としてイラストや漫画を描いていたそう。

そして、改めて自分と向き合い、夢への想いが再燃。現在は、町の広報誌のイラストを担当したり、オンラインで漫画の描き方の勉強をしたりしながら、いずれは絵の方面でも自立できるよう、徐々に活動の幅を増やしているところだといいます。

そんな木林さんの漫画やイラストは、Twitterやpixivに投稿されています。

現在は、ご自身が受講していたオンライン漫画講座・コルクラボマンガ専攻の最終課題として作成した「春、焦がれて。」が公開中です。Twitterでは自作のエンディングアニメーションも見られるほか、noteには同作の構想や制作秘話なども紹介されています。

■木林きききさんのTwitterはこちら→https://twitter.com/hageourzee

■木林きききさんのpixivはこちら→https://www.pixiv.net/users/4603116

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