ウミガメがスィーッと泳ぐのは小学校のプール!? 行きたい人が続出する廃校水族館は「ノスタルジーの塊」だった

中河 桃子 中河 桃子

「廃校を利用した水族館はノスタルジーの塊でした」とフォトグラファー銀鏡つかささん(@tsukarium)が投稿したのは、小学校のプールでウミガメが気持ちよさそうに泳ぐ姿や、跳び箱に埋め込まれた水槽、骨格標本が展示された理科準備室の写真。銀鏡つかささん(@tsukarium)と、撮影された「むろと廃校水族館」(高知県室戸市)の担当者にお話を聞きました。

29万ものいいねがついたツイートには、「エモの塊…行きたい…」「学校のプールでカメとか なんかファンタジーで良いなぁ」「廃校を水族館にするっていう発想が好きすぎますw」「行きたい水族館ランキング知った時からずっと1位です…!」と絶賛する声や、「地元の水族館がバズってて嬉しい」「地元だー!知ってもらえて嬉しい!」など、高知県民のコメントも相次ぎました。

水族館や海の生き物を紹介する博物館など84館を訪問し、施設や海洋生物を撮影している銀鏡つかささんに、どのようなきっかけで撮影されたのかを伺いました。

――この施設をどのようにして発見されましたか?

「全国の水族館を巡るのが趣味で、その過程で水族館プロデューサー・中村元さんの『全館訪問取材 中村元の全国水族館ガイド 125』を読んで知りました」

――訪問して、まず感じた気持ちは?

「2020年に初めて訪れた時は、本当に童心に戻った気分でしたね。展示されている学校の備品を見て懐かしかったです。また、開館・閉館を登校下校と表現しているところや、学校設備と水族館の組み合わせ方などに感動しました」

――撮影時にこだわったポイントは?

「今回は現在製作中の本の取材撮影で訪れていたので、どのような水族館かが伝わるような写真を意識していました。具体的には広角レンズでできるだけ広く撮り、情報量を多くしつつ綺麗にまとまるように撮影しました。

光の取り込み方に関しては、やはり天気に恵まれた点が大きく、プールの写真やウミガメの写真は水底の光の波紋が綺麗に見えるように注力しました。ここまで反響をいただけたのは純粋にとても驚きました。“行きたい”という反応が非常に多くて素直に嬉しかったです」

「室戸の海の身近な魚から珍しい魚まで」

2018年に開校した「むろと廃校水族館」は、2006年に閉校した高知県室戸市の椎名小学校を改修し水族館にリノベーション。ノスタルジックな要素と水族館のワクワク感を組み合わせたユニークな施設で、50種類もの海の生き物を楽しめます。広報担当者にも話を聞きました。

――廃校を利用した水族館を新設された理由は?

「元々、室戸市で定置網に入るウミガメの調査をしていましたが、その際に集まった標本や調査道具などの置き場が欲しいと思っていました。

廃校を利用しないかという市の募集を見て、当初は標本を展示して博物館のような施設ができないかと考えていましたが、プールでウミガメが飼育できると思い、水族館計画にシフトしました」

――一般的な水族館ではない特徴を活かせている点は?

「当館は、ペンギンやイルカなどのいわゆる水族館のメインとなる生き物よりも、室戸の海で暮らしている魚に注目して展示しています。身近な魚から珍しい魚まで、室戸の海に棲む様々な生き物をご覧いただきたいですね。

また水族館や生物に興味がなくても、学校という場所を懐かしんだり、楽しんだりしてくださっているお客様もいらっしゃるところが、他の水族館との違いでしょうか」

――ツイートには、20万のいいねがつきました。

「定期的にバズる当館ですが、いつも驚いています。交通の便がよくない僻地にスポットが当たることは良いことだと思っています」

◇ ◇

館内は、プールのほか、跳び箱やAEDの収納ボックスなどが水槽になっており、ノスタルジックな光景に胸がいっぱいになること間違いなし。また、特賞の巨大ぶりのぬいぐるみを目当てに、何度も挑戦する人がいる「ぶりくじ」や「さばくじ」(各1回1000円・ハズレなし)も人気。

ただし所在地は、銀鏡さんや、地元民も念押しするほどの「僻地」。公共交通機関でのアクセスは時間がかかるため、マイカーかレンタカーでの移動がおすすめとのことです。

また銀鏡つかささんは、今回の「むろと廃校水族館」をはじめ、全国の水族館を紹介する書籍を2022年中に出版予定。それまで、海の生物のかわいい姿や、神秘を感じる美しい瞬間などの写真は、Twitterでぜひお楽しみを。

■銀鏡つかささんTwitter https://twitter.com/tsukarium
■むろと廃校水族館公式サイト https://www.city.muroto.kochi.jp/pages/page0343.php
■むろと廃校水族館Twitter https://twitter.com/murosui_kochi

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