出会いは深夜の田舎道 親とはぐれた生後2週間の子猫から教わったこと「寂しい思いをしている猫や犬を幸せにしたい」   

ふじかわ 陽子 ふじかわ 陽子

何をするにもベッタリ仲良しの猫が千葉県で暮らしています。黒猫のレイくんとキジ白のミントくんです。出会った瞬間からじゃれ合って、おたがいがなくてはならない存在です。お昼寝もご飯も遊ぶのもずっと一緒。

そんな2匹の姿に毎日目を細めているKさんは、30代の独身男性。今でこそ猫が大好きですが、当初は犬を迎える予定だったのだそう。それもすぐではなく、ペット可の物件に引っ越せるようになる5年ほど先を想定していました。

忘れもしない2020年8月21日の深夜。Kさんが木更津市の田舎道を車で走っていると、道路上に小さな黒い塊があることに気づきました。慌ててブレーキを踏むKさん。恐る恐るヘッドライトはつけたまま車を降りて近付いてみると、何か動物の赤ちゃんがいるではありませんか。弱々しいものの、力の限り鳴いているようです。

ビックリしたKさんはすぐに抱き上げ、車の中に入れます。それから深夜でも応対してくれる動物病院に電話をかけ、指示を仰ぎました。その間もずっと赤ちゃんは「ミーミー」と鳴きっぱなし。その声を聞いた電話の向こうの獣医さんが、その子は猫だと言います。恐らく親と離れてしまったのだろう、と。

これを聞いたKさんは子猫を胸に抱き、親猫が迎えに来るのを待ちました。街灯もない暗い田舎道に、子猫が親猫を呼ぶ声だけが響きます。しかし、ついぞや親猫が姿を現すことはありませんでした。

不安に震える小さな小さな子猫。この子を、そのまま夜道に置いていくことなんてKさんにはできません。家に連れ帰り、翌朝は動物病院へ。この時、獣医師から引き取るか保護団体に預けるか尋ねられます。Kさんは迷わず答えました。

「うちの子にします」

生後約2週間のこの子猫、8月7日ハナの日辺りが誕生日ですから、名前は花にちなんだものを。ハワイの花輪「レイ」を名前にしました。「レイ」には「人との繋がりを大事にする」「出会いに感謝する」という意味もあるんですって。母猫とはぐれて寂しい思いをした分、幸せになってほしいという願いを込めました。

出会ったころは体重280グラムの子猫だったレイくん。ミルクをたくさん飲んで、どんどん大きくなります。体が大きくなると困るのは、遊ぶときです。レイくんは思いっきりKさんと遊びたいもんですから、力加減が分かりません。Kさんは生傷が絶えませんでした。

あと心配なのがお留守番です。寂しい思いをさせたくないのに、寂しい思いをさせている…。Kさんが帰宅すると大喜びでお出迎えをしてくれるレイくんの姿が、日中の寂しさを物語っていました。

そこでKさんは保護猫団体から、もう1匹猫を迎える決意を固めます。保護団体に相談をすると、レイくんとほぼ同じ月齢の猫を紹介してくれました。名前をミントくんといいます。とある学校の体育館裏に捨てられていた子なのだそう。ただ、一緒に捨てられていた子猫たちは全員新しい家に迎えられ、ミントくんだけ置いて行かれた感じ。

その境遇が親猫に置き去りにされたレイくんと重なり、Kさんはミントくんを迎えることにします。でも男の子同士は難しいと聞くから、まずはトライアル。もし相性が悪かったら、その時は…。

そんな心配は、どこ吹く風。出会った瞬間から2匹はじゃれ合って、まるで兄弟のよう!惹かれ合うものが2匹の中にあったみたい。

毎日、追いかけっこしてプロレスして、レイくんとミントくんは寂しいと思うヒマはなくなってしまいました。その様子をKさんは動画で撮影し、YouTubeで公開しています。とても好評なんですよ。

レイくんとミントくんと暮らしていくうちに、Kさんは将来の夢ができたと言います。それは、保護猫・保護犬の里を作ること。寂しい思いをしている猫や犬に、幸せの花輪「レイ」をかけられるようになりたい。

その夢を叶えるためにはまず、レイくんとミントくんを幸せにする。Kさんの挑戦の日々は続いていきます。

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