ミルクティーだけじゃない、タピオカ人気の火付け役チェーン店で出会った「台湾より美味しい台湾料理」

松田 義人 松田 義人

コロナ禍となり、もうすぐ2年。それまでは空前の台湾ブームが起きており、特にその象徴的ドリンクとして台湾タピオカミルクティーの店が各地で続々と開店し、こちらもまた一大ブームと化していました。

この台湾タピオカミルクティーブーム、そもそもは台湾・台中発祥の人気カフェ・春水堂(チュンスイタン)が発端と言われており、同チェーンは東京でも19店舗を展開しています。

他方、コロナ禍の影響で、観光目的で台湾に渡航することが事実上不可能になっている今、かつての台湾ブームや市場ニーズの実態を把握することはなかなか難しいです。また外出自粛なども影響もあり、台湾タピオカミルクティーの専門店も軒並み閉店しています。「台湾タピオカミルクティーのブームが終わったから」「次なるドリンクやスイーツのほうに市場ニーズが動いたから」という理由での閉店ならわかりやすいものの、コロナ禍というのっぴきならない事態の影響であることで、やはり台湾タピオカミルクティーの支持も、今のところ継続されているのか、それとも終わったのか、今一つはっきりしないところがあります。

そんな中、台湾タピオカミルクティーの火付け役・春水堂の渋谷マークシティ店では、昨年末より「台湾コース料理」というメニューを展開しました。3500円(税込・1人分 ※2名以上の利用)で、台湾グルメの定番を前菜からデザート、そしてもちろんドリンクまでをサーブするというもの。

台湾に行ったことがある方ならわかる通り、「台湾料理」の大半は、食堂などで出されるものが大半で「コース料理」として贅沢に味わうものではありません。しかし、そこを昇華させるべく展開するのが春水堂の「台湾コース料理」とのこと。前述のブーム火付け役の実績もある春水堂なだけに、このコースがヒットしたら、日本人にとっての台湾料理の認識がまた変わるのではないかとも思います。

というわけで今回は、春水堂マークシティ店に行き、この「台湾コース料理」をいただきます。さらに春水堂を運営するオアシスティーラウンジの代表取締役・木川瑞季さんにも話を聞いてみました。

タピオカミルクティーブーム終焉と思いきや、春水堂には長蛇の行列が!

さっそく渋谷マークシティに出向くと、店の周りには何やら行列が……。聞けば、春水堂のタピオカミルクティーのテイクアウトの行列とのことでした。この取材は、1月中旬、しかも月曜日の15時という時間帯でした。冒頭でも触れた「台湾タピオカミルクティーブームが継続中なのか、終わったのか」がはっきりわからない状況ではありますが、少なくとも火付け役の店・春水堂に限っては依然として人気メニューの一つであり続けているようです。

 

さて、店内に入り、その「台湾コース料理」をオーダーしました。メニューは3種の前菜、揚げ物盛り合わせ、鹹豆漿、ミニ丼またはミニ麺(魯肉飯、鶏肉飯、鶏湯麺)、ミニ豆花、ドリンク3杯といったもので、これで3500円(税込)。もちろんオーダーしましたが、台湾の食の物価を知っている筆者は、正直「ちょっと高いんじゃないか」と思うところもありました。しかし、この先入観が、食べ進めるうちに覆されることになります。

台湾の食堂の味をさらに高めつつ、良い意味で「日本人の舌に合わせない」絶品料理ばかり!

まずサーブされたのが、3種の前菜、揚げ物盛り合わせでした。3種の前菜はピリ辛水餃子、いんげんとエリンギの沙茶醤炒め、蒸し鶏ネギレモン。揚げ物盛り合わせは大根餅、カリカリ黄金チキンです。

いずれも台湾でよくある台湾式ビュッフェ・自助餐や食堂などで1品添える際にいただける定番メニューですが、口にしてビックリ。お世辞でもなんでもなく、台湾の食堂の味をはるかに凌駕するもので、初めて日本で「台湾より美味しい台湾料理」を食べた感動を覚えました。

 

 

さらに台湾の朝ごはんの定番で、豆乳料理の鹹豆漿も、独特の酸味と台湾特有のスパイスで日本では他ではまずないであろう味。続いて、ミニ丼またはミニ麺(魯肉飯、鶏肉飯、鶏湯麺の3つから選ぶことができる)は、いずれも台湾の名店と同じかさらに上をいくものばかりで、良い意味で日本人の味覚に迎合したものではないように思いました。

 

 

また、春水堂と言えばやはりドリンク。コースでは3杯を頼むことができ、渋谷マークシティ店限定のティーカクテルなどを含む50種以上から選ぶことができるのだそうです。いずれも「お茶」を使った絶品ドリンクばかりであり、春水堂が台湾タピオカミルクティーだけの店ではないことを十分理解させてくれます。

 

さらにスイーツも。日本でも女性の間でジワジワと人気が高まっている豆乳ベースのスイーツ・豆花。やはり良い弾力に茹でられたタピオカが添えられており、食後の胃を優しく癒してくれるような風合いを楽しむことができました。

 

台湾の春水堂同様に、テイクアウトだけでなく店内での食事も楽しんでもらいたい!

繰り返しになりますが、筆者はこれら「台湾コース料理」に本当に驚きました。いずれのメニューも台湾で食べる台湾料理よりも高いクオリティである一方、かと言って日本人向けにアレンジしたものでもありません。さらに男性でもお腹いっぱいで満足できる、これら「台湾コース料理」が3500円(税込)というのは、むしろ安いのではないかと考えを改めさせられたほどです。

最後に、春水堂を運営するオアシスティーラウンジの代表取締役・木川瑞季さんに話を聞いてみました。

「おっしゃる通り、台湾の名物料理をコースで食べられるという試みは珍しいと思います。これは春水堂・渋谷マークシティ店の店長・伊藤貴弘という者が考案したもので、理由の一つは『台湾料理=屋台料理』といったイメージを変えたかったことがありました。   

さらにもう一つ、タピオカミルクティーブームで来てくださったお客さまにも、本当の春水堂、本当の台湾を体験していただきたいという思いもありました。台湾の春水堂はお茶カフェとして、食事もかなり充実したお店です。テイクアウトで立ち寄っていただくことも、もちろんありがたいですが、台湾の春水堂同様に、テイクアウトも店内での食事も同時に楽しんでいただけると良いなと思い、今回の『台湾コース料理』を実施することにしました。

台湾に旅行に行けない現状ですが、春水堂には台湾熱が収まっていない様子の方々がお越しくださり、『台湾ロス』を解消するようにお食事を楽しんで帰られます。ぜひ当店の『台湾コース料理』をご賞味いただき、台湾への思いを膨らませていただければ幸いです」(オアシスティーラウンジ代表取締役・木川瑞季さん)

 

日本でいただける「台湾料理」は、日本在住歴が長い台湾人の方がやっているケースも多く、本国とはまた違う味になっていることがあります。もちろん、これはこれで美味しいのですが、台湾で食べる食事とはちょっと違う……みたいなことも多くあります。その点、春水堂の「台湾コース料理」は、まんまザ・台湾。しかも、台湾の食堂よりも美味しいものばかり。ぜひ一度食べられてみてはいかがでしょうか。

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