今の時代、怒る人が増えた? イライラを鎮めるための対処法「6秒ルール」とは

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 ささいなことでかっとなって相手に言い過ぎ、時間がたって後悔する―。衝動的に行動せず、不満な点を冷静に伝えるためにはどうしたらいいのか。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング法「アンガーマネジメント」が注目されている。日々の怒りを書き込み、どう向き合ったらいいかを整理する「2022年版 アンガーマネジメントトレーニングブック」(ミネルヴァ書房)の監修者に、怒りと向き合うこつを聞いた。

 アンガーマネジメントは1970年代に米国で生まれた。冊子監修に携わった日本アンガーマネジメント協会(東京都)の松井晴香さん(35)は、怒らないようになることでなく、怒りで後悔しないことが目的と説明する。「怒り過ぎる人が激しくならないように、逆にため込んでしまう人には適切な伝え方を身に付けてもらう」

 ブックはA5判で、今年12月から2023年3月までの月間、週間のスケジュール帳を兼ねる。週間スケジュール欄に、怒りを感じた出来事を日々記入する「アンガーログ」欄や、怒りの強さや対応がどうだったかを○×などで振り返る記入欄がある。「自分で記録することで『(休み明けの)月曜日はずっといらいらしている』とか『寝不足の時に怒りやすい』など、遠因となる傾向をつかみやすい」(松井さん)という。

 怒りにどう対応したらいいかなどの具体的なアドバイスも掲載している。気持ちを落ち着かせる「6秒ルール」はその一つ。「売り言葉に買い言葉」で反射的に怒り、暴言を吐いたり、暴力を振るったりすれば、相手との信頼関係を崩壊させかねない。6秒間やり過ごすため、頭の中で100から7ずつ引き算して気をそらしたり、手を握って開いてを繰り返して怒りでこわばった体を緩めたりすることをアドバイスしている。

 怒りの対象から離れて冷静になる「6秒ルール」が「対症療法」なら、むやみに怒らなくなる思考法を身に付けるのが「体質改善」。自分の価値観による「こうあるべき」が必ずしも誰に対しても正解ではないことを理解し、どこまで許せるのかを線引きして「まあ許せる」と思える範囲を柔軟に広げていく。

 新型コロナウイルス禍で、気分転換に友人と会ったり、買い物に行ったりすることが気軽にできず、いらいらを抱えた状態が続き、以前ならやり過ごせたささいなことにも怒る人が増えたと松井さん。「怒りを感じやすい時代だからこそ、感情的になって自分が後悔しないよう、怒りと上手に付き合ってほしい」と話している。

怒りから冷静になるテクニック

・6秒ルール

 いらっとした時は6秒待ち、少しずつ気持ちを落ち着ける

・深呼吸

 怒りを感じると呼吸は浅く速くなりがち。意識的に整える

・100から引き算

 頭の中で引き算を行う

・口角アップ

 無理やりでも笑顔をつくり、寛容な気分に

・思考停止

 真っ白い紙を想像し、何も考えていない状態に近づける

・クールダウン

 話し合いを中断し、相手の了承を得て席を離れる

・応援メッセージ

 「今が頑張りどころ」などと励ます言葉を頭の中でつぶやく

・グーパー体操

 怒りで体に力が入っているとき、手を握って開いてを繰り返す

「2022年版アンガーマネジメントトレーニングブック」より

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