鹿児島で保護された野良猫がめぐりめぐって今は淡路島!彫刻家にインスピレーションを与え続ける2匹の猫

ふじかわ 陽子 ふじかわ 陽子

淡路島に住む11歳の黒猫のひなちゃんと、8歳のキジ白のむぎちゃんはとても仲良し。いつも2匹で寄り添って過ごしています。1匹がお風呂に入れられていると、「大丈夫?」とお風呂場の前までやってくるんですって。

女の子同士の猫は仲がイマイチということが多いのですが、ひなちゃんとむぎちゃんに限ってはそんなことはありません。それはもしかすると、むぎちゃんが子猫の時にひなちゃんと出会ったからかもしれません。

むぎちゃんは生後約3カ月の時に、今一緒に暮らしている彫刻家の花房さくら先生のもとに引き取られました。花房先生の家にたどり着くまでが、ちょっと長い道のり。実はむぎちゃん、鹿児島の野良猫だったのです。名古屋から鹿児島に帰省していた人に保護されました。

その保護してくれた人は、花房先生の知り合いの知り合いの……知り合いです。保健所につれていかれそうな時、寸でのところで保護。名古屋まで連れて帰ってきたのは良いけれど、アパートではペット禁止。なので知り合いに相談しました。

知り合いが知り合いに相談をする輪がどんどんと広がっていき、ついに花房先生のもとへ。当時は花房先生も名古屋に住んでおられたのだそう。

本当に遠く遠くからやってきたにも関わらず、むぎちゃんは物怖じをしません。優しい人の輪に触れた影響も大きいのでしょう。元野良猫とは思えないほどの人懐っこさです。人間大好きで、隙あらばお膝にON。撫でて欲しい時は人間の手に寄っていって、セルフなでなでです。

でも、やっぱり元野良猫だなぁと感じるのは、人間の食べ物が好きな点。牛乳をコップに注いでいると「わたしにもちょうだいよぉ」、お魚をさばいていると「わたしにもください!」。食材を置いて目を離すと、まるでサザエさんの歌のようなことが起きるのだとか。

こんなことばかりを書くとむぎちゃんの名誉が傷ついてしまいますので、むぎちゃんがちゃんとお返しをしてくれるエピソードも。なんとむぎちゃん、ネズミやヤモリ、芋虫を捕って来ては、花房先生にプレゼントしてくれるんですって。

「わけてあげるね」

と言っているかのように優しい顔でくれるのだそう。ネズミや芋虫は正直嬉しくありませんが、むぎちゃんの心遣いは花房先生に届いています。

むぎちゃんは気遣いもできる女の子。花房先生が制作の時は近くに寄らずに、作業場の端っこで作業が終わるまで待っていてくれるんですって。お姉ちゃんのひなちゃんの方が、この時はグイグイくるのだそう。

作業場の近くにむぎちゃんはいてくれるので、作品と一緒に撮影をされることも多いんです。ちゃんとお手伝いできて賢い!モデルとしても頑張っています。

花房先生の2人のお子さんとも関係は良好。ずっとひなちゃんの妹分だったむぎちゃんは、ようやくお姉ちゃんになりました。とてもお子さんを可愛がります。耳や尻尾を掴まれてもグッと我慢。「わたしはおねえちゃんだから」。寒い日は暖を取りに赤ちゃんのそばで寝ることもあるとか。

こんな穏やかな日々、鹿児島で保健所に!といわれていたころには思いもよりませんでした。少しの出会いの輪がどんどん広がった結果、むぎちゃんは素敵な家族と玉ねぎ畑に囲まれて平和に暮らしています。

むぎちゃんが穏やかに暮らしているからか、むぎちゃんやひなちゃんをモデルにしている花房先生の作品も穏やかなものばかり。見る人は思わず笑顔に。

きっと花房先生もむぎちゃんやひなちゃんと接している時、こんな笑顔になるのでしょうね。その笑顔を作品を通じておすそ分けしてもらっているのかもしれません。

むぎちゃんは人の輪で幸せになり、その幸せなむぎちゃんで作品が生み出され、笑顔の輪が広がっていっています。この輪がどんどん広がりますように。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース