「葬」「鬼」「呪」…、何とも物騒な字が並ぶダンボール箱の山が話題です。
ダンボールが積み上げられていたのは「くまざわ書店南千住店」のコミック売場の隅。コミック売場と聞いて、「なるほど!」とピンときた人も多いのではないでしょうか。
そう、この物騒な字の並びは「葬送のフリーレン」「鬼滅の刃」「呪術廻戦」という人気マンガの頭文字!わかる人はちょっとニヤリとしてしまいますよね。
「本日の応援店にて。コミック売場の隅に積まれたダンボール。『葬』『鬼』『呪』…。本屋が見たら中身は一目瞭然だが、何も知らない人が見たらちょっと物騒な気配…。」というコメントと共に投稿された画像にリプ欄は、
「吹き出しましたっ!!確かにダーク感溢れる空間…」
「どれも頭文字だけ見ると物騒ですね(笑)」
「わかる、わかるぞ…」
「葬がわかってしまって嬉しい!」
「全部何が入っているのかわかりますね!すごく的を射た表書き」
など、「わかる」人たちの喜びのコメントのほか、
「鬼滅と呪術はわかるけど葬って…」
「葬だけわからん」
と悩む声も集まり、5.5万件の「いいね」、1.8万件のリツイートが付きました。
確かに、知っている人は知っている良作「葬送のフリーレン」までわかると何とも言えない気持ちよさが…!
投稿主で書店員の「錦糸卵(@ash1208kmzw)」さんにお話を伺いました。
――作品を知らない人が見たら物騒な絵面ですね。
そうなんです。私は字を見てすぐ中身がわかりましたが、「葬」「鬼」「呪」の3文字がそろうと物騒で、なんだかおもしろいなと思って投稿してみました。
――ちょっとしたクイズみたいでおもしろかったです!このように、タイトルの頭文字だけを箱に書くのはスタンダードなのですか?
私はこのダンボール現場とは違う店(くまざわ書店錦糸町店)の書店員なのですが、自分の働く店が緊急事態宣言で休業中だったので、ヘルプでこの店に来ていました。でも、どの店でも、作品の頭文字や略称を書くのはよくあることだと思います。
――頭文字だけだからこそ想像が掻き立てられました。リプ欄も答え合わせのように盛り上がっていましたね。
意図していなかったのでびっくりしました。コメントを拝見すると「鬼滅の刃」「呪術廻戦」に比べると「葬送のフリーレン」の認知度が今のところ少し落ちるようですが、「おもしろいよ!」と書かれている方も何人かいらっしゃって。実際にとてもおもしろい作品なので、未読の方にはぜひ読んでみてもらいたいです。
――「葬送のフリーレン」は、マンガに精通する書店員さんらが推す作品を選ぶ「マンガ大賞2021」の大賞を獲っていますよね。錦糸卵さんはこの作品のどういったところに魅力を感じますか?
勇者一行が魔王を倒したあとの世界が舞台で、魔法使いとして活躍したエルフの女性・フリーレンが主人公の物語です。エルフは寿命が長く、1000年は軽く生きるので、彼女にとっては10年ほどの魔王討伐の旅はとても短いもの。だから人間の感情のゆらぎにも鈍感なのです。でも、一緒に旅をした勇者ヒンメル、僧侶ハイターが亡くなった後に、新たな旅の中で彼らのフリーレンに対する想いが伝わっていくところ、新しく迎えた弟子たちとの絆の中でフリーレンが変わっていくところが描かれていて、そこがとても好きですね。
――なるほど。世界観もおもしろいですね。ちなみに、錦糸卵さんのお店で人気なのはどの作品ですか?
ピークともいえる人気なのは「呪術廻戦」です。「鬼滅の刃」もそうですが、最近はアニメ化などと連動して大ブレイクする傾向がありますね。とはいえ、「葬送のフリーレン」もこれから伸びると思います。
――先日の「アメトーーク!」でも紹介されていましたから、さらに人気が出そうです。どちらにしても、この3作品がどれも人気コミックなのは間違いないですね。
3作品すべて、戦闘シーンがありながらも仲間を想う温もりがあるのが良いのだと思います。
――そうですね。大人が読んでも気づきのある作品ばかりです。最後に、今回の反響の感想をお聞かせください。
ただ驚愕しています。投稿がバズった記念にダンボールの「葬」の文字部分が切り抜かれ、店舗の「葬送のフリーレン」ポスター横に祀られていたのにも驚きました(笑)。私の所属する「くまざわ書店錦糸町店」はあいにく休業中ですが、この「南千住店」はがんばって営業しているので、よろしければぜひお立ち寄りください!
結果的に3作品のPRにもなった今回の投稿。錦糸卵さんがヘルプで勤務している「くまざわ書店 南千住店」は、コミックのほかに児童書にも強いお店だそうです。おこもり時間のお供になる1冊を見つけに行くのもよさそうですね。
▽くまざわ書店 南千住店
住所:東京都荒川区南千住4-7-2 LaLaテラス南千住1F
▽くまざわ書店 錦糸町店(当面の間休業)
住所:東京都墨田区錦糸2-2-1 アルカキット錦糸町9F