兵庫県の神戸・三宮のバッグ専門店にうずたかく積み上げられた直径約15センチ、高さ約20センチの筒が、バカ売れしている。商品名は「HAPPYDOLL」。値段は1つ2700円(税別)。筒の中身は銀色の袋で覆われていて購入前に確認することはできないが、子どもから大人まで幅広い世代が買い求め、しばしば入荷待ちになることもあるという。
開封すると出てくるのは、まんまるな目と、フサフサのまつげ、黄色い髪がトレードマークの女の子「イーマリー」の人形だ。イーマリーは女性用かばんなどを企画するスタジオアタオ(神戸市中央区)が、2016年秋に立ち上げたブランド「イルメール」のキャラクター。年齢4歳。性格は活発でおしゃれが大好き。好物は唐揚げとあんこ、だしが利いた食べ物だという。
HAPPYDOLLはほかに、髪がベージュの「エーマリー」(しっかり者)、グレーの「ビーマリー」(おっとりタイプ)、赤の「シーマリー」(ちょっぴりおませ)、こげ茶の「ディーマリー」(内気でまじめ)の4種類がある。イルメール島が誕生したとされる4月29日にだけ、不思議な力によって誕生するイーマリーの五つ子という設定だそう。さらにレアデザイン2種類も中に混じっていて、何が当たるかはお楽しみだ。
人気に火が付いたきっかけは昨年のクリスマス商戦にさかのぼる。人気ユーチューバーが、この筒をひたすら開封しては中身を確認するという動画を配信し、子どもたちの心をわしづかみにした。
この人形、もともとは白いTシャツワンピースを着ているが、着せ替え用の洋服・小物が別売りされている。Tシャツや帽子がセットになった商品や、「ガチャガチャ」で販売するワンピースなどのほか、期間限定のコスチュームもある。豊富な衣装は若い女性の心もくすぐった。
そして、既製品では飽き足らない女性たちは、思い思いの服を手作りするようになった。世界に一つしかない自慢の衣装は、インスタグラムに投稿され、「#イーマリーちゃん好きな人と繋がりたい」などのハッシュタグで、交流を深めていく愛好家たちも表れた。
一方、子どもに人形をおねだりされた母親たちも、ファッション性の高いかばん類を見て「親子で一緒に楽しめる、と感じてくれたようだ」と同社。中には、孫に連れられて店に来て、自分が気に入ってしまい、かばんを買い替えに来る70代もいるとか。
そんな中、今年10月、スタジオアタオがついにブランドの公式ファンクラブを設立した。会費は入会金1500円、年会費3200円と、アイドルグループのそれに迫る価格設定だが、限定の商品が入手できるなどの特典もあり、同社の予想を大きく上回る1000人以上がすでに登録しているという。今後の展開について同社は「イーマリーを取り巻く個性豊かなキャラクターたちを登場させた商品を発表していきたい」としている。
HAPPYDOLLやそのほかのイルメール商品は、神戸・三宮の商業施設「神戸国際会館」地下1階のアタオランドやオンラインショップで購入できる。