作業台に置かれた茶色いボディのゴジラ。細かいパーツをよく見てみると、なんと全てセミの抜け殻!「なんちゅうもん作ってんねん」というコメントとともに、作品を紹介したツイートが話題になっています。「もはや神の領域」「どうやって作ってるんだろう」と感心したコメントが寄せられました。
この作品を作ったのは、普段は印刷会社に勤めながら趣味で作品づくりをおこなっているというタニクラカイ(@rlavemmN8fX18pY)さん。今回話題になった作品は大学時代に作ったものだそうで、現在タニクラカイさんのTwitterには『ウルトラマン』に登場するバルタン星人や、『新世紀エヴァンゲリオン』のエヴァ初号機など、ゴジラのほかにも様々な作品が公開されています。
「今回のツイートでたくさんの人に見て頂けた」と話すタニクラカイさんにお話を伺いました。
──作品を作り始めたきっかけは?
抜け殻はそのままでも造形が美しいので、それを組み合わせて何か作りたいというのはずっと考えていました。大学4年生のときに就活と卒業制作に飽き飽きしていて、現実逃避の一環で大学中の抜け殻を集め、当時、映画の『シン・ゴジラ』が流行っていたので勢いで作ったのが始まりです。以来、毎年夏に作品を作るようにしています。
──どのように作っているんですか?
モチーフに選ぶのは、リアルな造形が似合う知名度の高いキャラクターが中心。拾ってきたセミの抜け殻を頭部・腹部・足などのパーツに分解し、ボンドで貼り付けながら制作しています。抜け殻はセミの種類によって大きさがかなり違うので、必要に応じて使い分けています。
新たに制作された「シン・ゴジラ」では、抜け殻の尖った前足をゴジラの背中部分に使用するなど、細かいディテールも見事に再現。制作期間はたったの3日というからさらに驚きです。
セミの抜け殻という繊細な素材を使っていながら、どの作品も支えなしで自立するように作られています。しかしやはり苦労も多いそうで、「セミの抜け殻自体が脆くて軽いので、鼻息程度でも飛んでいってしまい部屋を汚すこともあります」とタニクラカイさん。
現在の作品数はまだ10に満たないだそうですが、制作ができるのはセミの抜け殻を入手できる夏の期間だけ。来夏の新作が今から楽しみです。