商店街にあふれていた“ナゾノマスク”が暴落していた。4月中旬ごろからさまざまな業種の店がマスクを取り扱う光景が見られるようになったが、5月に入ってマスクの値段が急激に下がっていた。兵庫県内の商店街で4月下旬、山積みされた謎の中国産マスクを買ってみてから約2週間。“マスク街”になった商店街を、再び歩いてみると…。
神戸市の元町商店街。ワゴンに山積みされたマスクは、軒並み値を消していた。「本日限り!」「転売ではありません」と貼り紙が風になびく。4月25日には1箱50枚入りで3500円から4000円していたマスクは、2500円前後に落ち着いていた。
ステイホーム週間となったゴールデンウイークを過ぎ、マスクに群がっていた買い物客もめっきり少なくなった。店頭でマスクを手に取っていると「お兄さん、うちの店だともっと安いのあるよ」と、カタコトの日本語を話す女性からまさかの“客引き”にあった。
4月下旬に取材した際は、マスクの売れ行きが〝救世主〟と語っていた店主もいた。当時4000円前後で箱マスクを売っていた飲食店の女性店員は、最近になって2500円前後まで値下げしたことを明かす。「4月の終わりくらいから、商店街や周辺でマスクを扱う店がさらに増え出した」と顔を曇らせる。
周囲でマスクを取り扱う店がいちだんと増え、過当競争になったという。飲食店の女性店員は「最初はよく売れていたんですが、マスクの量が周りで増えて、余り始めたので値段を下げざるを得なかった」と話す。商店街を見渡すと“マスク街”化がさらに進んでいた。
値崩れした箱マスクを、さらに2000円前後まで下げ「処分価格」と銘打って売る店や、箱単位ではなく5枚から10枚の小分けにして販売するケースも。緊急事態宣言の延長で、店の通常営業はままならないままだが「もっとだぶつくんじゃないかと…」(前出の女性店員)と不安がった。
大阪では、マスクを販売する自動販売機まで登場した(ちなみに5枚入り400円)。政府が配布する布マスク(俗称・アベノマスク)は記者の住む大阪には届いていないが、ちまたのマスクがこれだけ値崩れするともういらなくなるような…。