ハワイの空に響いた「いい湯だな」…高木ブーが87歳を前に現地ライブ、長女が明かす父の思い

北村 泰介 北村 泰介

 今年3月8日に87歳の誕生日を迎える高木ブー。米ハワイで現地16日に開催された音楽イベント「ウクレレ・ピクニック・イン・ハワイ」で現役感あふれる演奏と歌声を披露した。ザ・ドリフターズの代表曲「いい湯だな」をウクレレ演奏するコーナーでは日本からの参加者と共に歌い、ハワイの青空に「ババンバ、バンバンバン」のフレーズがこだましたという。帯同した長女・かおるさんに、現地での様子や父の音楽にかける思いを聞いた。

 人種や言葉を超えた無料イベントで、2009年の第1回から毎年5000人以上の観客を集めている。今年はハワイ州カカアコのビクトリア・ワード・パークで野外イベントとして行われ、7000人を動員した。同イベントのプロデューサーでもあるサザンオールスターズ・関口和之のユニット「関口バンド」や海外のミュージシャンらが多数参加し、高木は自身のバンド「高木ブーとハロナ」のベーシスト・西里慶との2人ユニットで出演。「マウナ・ロア」「涙そうそう」「ブルーメモリー」といった曲で美声を響かせた。

 かおるさんは「ウクレレ・ピクニック・イン・ハワイの出演も今年で連続4回目となります。毎年のこのイベントの出演が父親の『原動力』となっているようです。関口氏は『ブーさんは年を重ねていくにつれ、声に磨きがかかっているように思う』とおっしゃっていました。年を取ると、割と多くの歌い手さんがキーを下げて歌うのですが、父は現役時代のままです」と証言した。

 今回は「高木ブーと一緒に『いい湯だな』をウクレレで演奏しよう」というコーナーを設け、日本から参加者を募集。かおるさんは「東京、名古屋、滋賀とあらゆる所から参加いただきました。ハワイの青空に『ババンバ、バンバンバン』が鳴り響きました。日系の皆さんもとても喜んでくれました」という。

 15歳でウクレレプレイヤーとして初めてステージに立った高木。中央大学在学中からプロミュージシャンとして活動し、東京五輪が開催された1964年、故・いかりや長介さんにスカウトされてドリフターズに加入。最高視聴率50%を超えたTBS系「8時だョ!全員集合」でお茶の間の人気者になった。85年の同番組終了後、ソロ活動を開始。90年代以降はウクレレミュージシャンとしての活動が増え、99年にはNHK教育テレビ「趣味悠々 高木ブーの今すぐ始めるウクレレ」で講師を務め、日本のウクレレブームの火付け役となった。

 現在も精力的に音楽活動を続ける。18年には関口や野村義男らと共に「1933ウクレレオールスターズ」を結成。かおるさんは「当面の目標は2年前に結成した『1933ウクレレオールスターズ』の活動をもう少し増やしたいようです」という。盟友の野村は、たのきんトリオの「よっちゃん」として80年頃にアイドル人気を獲得したが、その後、ギタリストとして活躍し、今月29日に7年の月日をかけたソロアルバムをリリース。その中で、高木は野村が作詞作曲した「ヤシの木の下で」という曲を歌っている。

 ちなみに高木には「ホアコクア」というハワイアンネームがある。カメハメハ大王の直系の子孫でハワイ大学教授の人間国宝ルビライト・カウエナ・ジョンソンからハワイ文化の普及に対する貢献を評価されて授かったのだ。そんな、ゆかりのあるハワイでの公演後、つかのまの休日を楽しんだ。かおるさんは「今回はたくさんの日本とハワイのバンドが出たのですが、父はいろいろと刺激を受けたようで、終わってから『これからあーしたい、こーしたい』と音楽に関する話が尽きませんでした」と明かす。

 今年も各地でライブを行う。当サイトの取材に「体が続く限り、いろいろと動いた方がいい。面白いですよ」と笑顔を浮かべたブーさん。米寿を来年に控えた今も、バリバリの現役として音楽人生を楽しんでいる。

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