激動の20年政局、IR問題が安倍政権にダメージ及ぼす可能性…中国企業の背景に習近平氏の存在

須田 慎一郎 須田 慎一郎

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡り、元内閣府副大臣でIR担当だった衆院議員(自民離党)の秋元司容疑者が昨年のクリスマスに収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。ジャーナリストの須田慎一郎氏は当サイトの取材に対し、この事件が安倍政権にとって最大級のスキャンダルとなり、2020年の政局に大きな影響を及ぼす可能性を指摘。その理由として、同容疑者に賄賂を送ったとされる中国企業「500ドットコム」の背後には、習近平・国家主席と直結した中国の巨大企業グループが付いていることを強調した。

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 12月末にIRを巡って秋元容疑者が逮捕され、さらには自民党の一部国会議員にも捜査が及ぶ流れになっている。昨年はその時点で御用納めとなったが、新年となった仕切り直しで、東京地検特捜部がどう動くかが注目される。

 1月20日から通常国会があり、特捜部には「政治、政局に影響を与えない」というポリシーがあるため、その日までに一段落となる可能性もある。だが、果たして秋元議員の逮捕だけで幕引きとなるのか。あるいは、それ以降も水面下で捜査が継続されるのか。

 これまで安倍政権は何度もスキャンダルや疑惑を切り抜けてきたが、今回のIR問題は政権にとって最大級のスキャンダルとなる可能性がある。特捜部の動きは、今後の政局に大きな影響を与えるだろう。

 IRは安倍政権の目玉政策だった。広範囲で働きかけが行われ、その中で、「500ドットコム」という中国企業から秋元容疑者に現金が渡っていたわけだが、この会社のバックには中国の大きな企業集団が付いている。しかも、それは習近平国家主席と直結した企業集団なのである。

 秋元容疑者の逮捕だけでなく、今後、親中派の大物国会議員の名前が出て来る可能性がある。捜査ターゲットになるか、さらに逮捕されるのかどうかは別として、IRの招致に尽力していたその大物議員は安倍政権を支えている人物でもある。それだけに、名前が取りざたされるだけでも政権にとって大きなダメージとなるだろう。

 そこで追い詰められて衆議院の解散となるか。通常国会が終わる6月解散、7月選挙の可能性もある。小池百合子東京都知事の任期満了に伴う都知事選は7月5日が投開票。その日が衆院選と都知事選のダブル選挙になることも考えられる。いずれにしても、どこかのタイミングで解散に踏み切らなければ、政権はレームダック(死に体)状態になる。選挙時期は、東京地検特捜部による捜査の進展状況に左右されるだろう。

 安倍晋三首相が昨年末に「ポスト安倍」となる後継候補の名前を挙げたが、今後、安倍首相の影響力が低下すれば、その“後継指名”に入っていない自民党の石破茂元幹事長の存在感が上がってくるだろう。

 最後に改めて「500ドットコム」のバックには習近平直結である中国の巨大企業グループがいるということを強調しておきたい。その事実は、簡単には幕引きできない要素となっていくだろう。

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