登山道に設置された「熊さんにお願い」と書かれた看板がネットで話題になっています。どんなことが書かれているのかというと…「あなたの住んでいる地域に、人が音を出しながら立ち入りますので どうか、襲わないようお願いします。」とのこと。でも、熊さんたち、漢字とかどこまで読めるのかしら…。ちゃんと伝わればいいのですけど、大丈夫かな?
看板についてTwitterに投稿したのは、「朴葉=ニャン」(@obashuji)さんです。11月16日、「熊の方にお願いするスタイルは珍しい」とのコメントとともにつぶやき、19日夕刻までに5700件近くリツイートされているほか、1万5000件を超すいいねがついています。
プロフィールに「週末ヤマノボラー」と書いている「朴葉=ニャン」さん。埼玉県西部・秩父地方の横瀬町にある「丸山」という山でこの看板を発見し、すぐツイートしたそうです。
登山者に対して野生動物を注意するよう呼びかける看板は数多く見かけますが、野生動物側に人間を注意するよう呼びかけるケースは確かにレアな感じです…。Twitterでは「熊に読めますかねw」という意見の一方で、「逆に山に入る人間に注意を促しているとも取れます」「『いつもトイレを綺麗に使っていただき』と同じで、さりげなく人間に音を出すことを要請している」と、看板の意味を推し測る意見がたくさん。「よくある『熊に注意』の看板じゃ、入山者も注意しません。目立たないと、注意を喚起できない。センスがいい!」との声もありました。
看板を設置した理由などについて、横瀬町の振興課に聞きました。
―面白い看板ですね。
「看板が設置されたのは、8〜9年前になります。熊の出没がきっかけで注意喚起のために作成しました。町内の登山道やハイキング道の入り口付近に10カ所掲示しています」
―人に注意を呼びかけず、熊さんに呼びかけているんですね。びっくりして目を引きます。
「当時の担当者の発案です。もともと動物が住んでいる場所に、人間が入らせてもらうのだという認識を持ってほしいという思いから作成されたようです。もちろん、普通の看板と異なりインパクトがあるので、看板としての役割をより果たしていると思います」
―このあたりはそんなに熊の出没が多いのでしょうか。
「人が襲われたことは、これまでほぼありません。しかし年に1〜2回程度は目撃情報がありますし、人里におりてくることもあります」
―看板の熊さん、とっても怖そうですものね。こんな熊の目撃情報があるなら、本当に注意しないと…。
「あ…それはちょっと担当者から間違えたと聞いていて…。このあたりに現れるのは『ツキノワグマ』なのですが、看板では北海道にいるような大型の『ヒグマ』の絵を使ってしまったようです。これまでも絵のことではお問い合わせをいただいたこともありまして…」
―いえいえ、これくらい怖い熊さんがいると思って注意しないといけませんよね!私自身は、この熊の絵、カッコよくて好きです!
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横瀬町では、登山者のボランティアが登山道の整備や安全確認のため一緒に活動しているといい、看板に「登山者一同」という言葉が入っているのも、そのためだそうです。いろいろな人たちの安全を願う気持ちが、これまでにない看板の表現につながっているようです。