保護された野良猫親子…子猫たちは人になつかず 里親探して2年、1匹は体調崩して…

渡辺 陽 渡辺 陽

 野良猫が産んだ子猫たち。しばらく野良である母猫と暮らしていたので、人になかなかなつかず、1匹はFIP(猫伝染性腹膜炎)で死亡。残る1匹は里親希望者がなかなか現れないままだ。

何度も妊娠してしまう野良猫

 静岡県のとある住宅地で、人が野良猫にエサをあげていた。不妊手術をしていなかったため何度か子猫を産んでしまった。静岡県で猫の保護活動をしている植松さんは、交通量が多いせいか、子猫たちは産まれてもすぐに死んでしまうと聞いていた。2017年1月、同じ母猫が再び子猫を産んで、子猫と一緒に出没しているという情報が入ってきた。

 植松さんが見に行くと、確かに車が激しく行き交うところで、子猫が生き延びるには難しそうなところだった。母猫と子猫が一緒にいるところを発見し、まずは子猫を1匹捕獲した。その子がなるとくんだ。生後3~4カ月くらいだった。

 「エサを与えている人に聞くと、子猫は全部で3匹いたのですが、1匹の子猫は車にひかれて亡くなったそうです。1匹は捕獲したのですが、残る1匹は母猫が隠してしまいました。母猫は人の姿を見ると、子猫を安全な場所に移動させ見つからないようにするんです」

母子共に無事捕獲

 その夜、植松さんは、もう一度親子猫を探しに行った。遠くのほうで子猫がニャアニャア鳴く声がしたが、どこにいるのか分からない。延々と探し回ったが、子猫も母猫も見当たらなかった。母猫が警戒すると、捕まえるのはとても難しくなる。

 「人がいる間は、絶対に出てこないので、その日は捕獲するのをあきらめました」

 人が寝静まった頃、エサを与えていた人の家の近くに現れるという情報を得たので、植松さんは、2~3日後に再び現場に行ってみた。家の玄関先に捕獲器を設置し、その夜はいったん帰宅。翌朝行ってみると、母猫と子猫は別々の捕獲器に入っていた。

人馴れしにくい、野良猫に育てられた子猫たち

 2匹の子猫は野良猫に育てられたので、人には警戒心をむき出しにしてきた。猫パンチは飛んでくるし、噛んでくることもあったという。

 後から捕獲したメスの子猫は、もう少し丸い性格になってほしいと「なごみちゃん」と名付けたそうだ。なごみちゃんは、なでることはできた。

 なるとくんは、人には猫パンチしてきたり、急にシャーッっと威嚇したりするが、植松さん宅の他の猫のことを母猫の代わりのように思って甘えている。

 植松さんは、2匹の子猫を里親募集サイトに掲載したが、人なつっこい子でないとなかなか里親希望者が現れない。はじめから人馴れしている猫を希望する人が多いのだ。

 2匹とも里親が見つからないまま2年の月日が経ち、なごみちゃんは、2019年のゴールデンウィークに体調を崩して、手を尽くしたが23日に亡くなってしまった。FIPに感染したと考えられている。

 なるとくんは元気だが、相変わらず人より猫のほうが好きだ。なでさせてはくれる。

 母猫はかねてからエサを与えていた人のことが好きで、足元にスリスリして甘えるので、不妊手術をした後、その人ところで飼われることになった。

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