東京都在住のKさん(50代)には、大学生の息子がいます。ある日、息子から「彼女と海外旅行に行くことになった」と報告されました。
大学生なら恋人と旅行に行くこともあるだろうと、「気をつけて行ってきてね」と送り出すつもりだったKさん。ところが、思いがけない話を聞くことになります。
「海外旅行に行くなら、彼氏があいさつに来て」
彼女の両親から、海外旅行に出かける前に、彼氏がきちんとあいさつに来てほしいと言われたというのです。
彼女は地方出身で、現在は東京で一人暮らしをしています。娘が海外旅行に行くとなれば、親としては一緒に行く相手を知っておきたいのでしょう。
そこで息子は、旅行前に彼女の実家がある静岡県まで、あいさつに行くことになりました。
話を聞いたKさんは、なんとも言えない違和感を覚えたといいます。
「うちの息子が彼女と旅行に行くから、あいさつに行く。そこまでは分かります。でも、逆だったらどうなのだろうと思ってしまいました」
Kさん自身は、息子の彼女に「うちにもあいさつに来てほしい」とは思っていません。大学生にもなれば、誰と付き合い、どこへ旅行するかは本人たちに任せたいと考えています。
娘を心配する親心は分かるけれど…
一方で、彼女の両親の気持ちも理解できます。海外旅行となれば、何かあったときの心配もあるでしょう。大切な娘を送り出す前に、相手の男性に会っておきたいと思うのは親心なのかもしれません。
ただ、Kさんが引っかかったのは、なぜあいさつをするのが息子側だけなのか、という点でした。
結婚や婚約をしているわけではなく、あくまで大学生の恋人同士。Kさんの話では、2人は対等な関係で付き合っているようです。
「もし息子が彼女に連れて行ってもらう立場だったら、彼女がうちにあいさつに来るのでしょうか。それとも、そんなことは求めないのでしょうか」
女子を持つ親なら、「娘が海外に行くのだから、相手の男性がどんな人なのか知りたい」と思うかもしれません。一方、男子を持つ親なら、「なぜ男性だけが相手の親にあいさつをし、責任を負うような形になるのだろう」と感じることもあるでしょう。
Kさんは、ただ、恋人ではあるけれど、友人同士の旅行として、相手の親への向き合い方もお互い同じであっていいのではないか、という疑問が残りました。
息子は菓子折りを持って、彼女の実家へ向かう予定です。旅行前に加わった、思いがけない「あいさつ」という予定。
これは、娘を持つ親だったら当然のことと考えるのか、それとも少し時代錯誤だと感じるのか。親の立場によっても、受け止め方は違うのかもしれません。