頼まれると断れずに仕事を抱え込んでしまい、心身ともに疲れ果ててしまう人がいます。周囲に対して「いい人」を演じ続けてしまう背景には、どのような心理が働いているのでしょうか。
断れない人の心理メカニズムや、相手を不快にさせずに自分を守る自衛術について、臨床心理士・公認心理師で、恋活・婚活スクール【and her】を運営されている田口ともさんに聞きました。
頼み事を断れず引き受けてしまう人の心理的背景
――頼み事を断れず引き受けてしまう人の心理的背景には、何がありますか?
「断って嫌われたくない」という恐怖心や、「自分が断ると他の人に迷惑がかかる」という申し訳なさが強く働いているからだと思われます。
また、「Aさんの依頼を受けたからBさんも断れない」と全員にいい人であり続けようとし、関係性を破綻させたくない思いから、自分を後回しにしてしまいます。断ることによる人間関係への影響を過剰に恐れてしまう姿勢が、根本的な背景にあると考えられます。
――頼みを断れず「いい人」を演じ続けることで、どんなリスクが生じますか?
自分のやりたいことや本来の仕事が後回しになり、心身が激しく疲弊していきます。周囲からも「言えば何でもやる人」と都合よく扱われ、依頼がエスカレートする悪循環に陥りかねません。
最悪の場合、「頼まれごとがないと自分に価値がない」と思い込む依存的な状態となり、自分の存在価値や評価を他者に委ねてしまう、精神的なリスクへと発展してしまいます。
――相手を不快にさせず、うまく断るためのコツやポイントはありますか?
相手の受け取り方はコントロールできないため、絶対に不快にさせない方法はありません。しかし、最初に「申し訳ないんだけど」と一言添えるだけで、印象は大きく変わります。
さらに、「今日は無理だけど来週なら」「自分は難しいけれど〇〇さんなら」といった代替案を提示するのが効果的です。「あなたのために考えた」という姿勢を示すことで、角を立てずに断ることができます。
――「断ったら嫌われる」という恐怖心を和らげ、自分を守るための対処法は?
自分を嫌うかどうかは相手の選択であり、こちらでコントロールできる領域ではないと割り切ることが大切です。また、全ての依頼を等しく引き受けようとせず、「上司からの重要な指示」など絶対に断れない範囲と、それ以外の依頼とで自分なりの「線引き」を行いましょう。
自分を守るルールを決めておくことで、過剰な恐怖心や罪悪感を減らし、自分自身の生活や心身を守ることができます。
◆田口とも(たぐち・とも) 臨床心理士/公認心理師/LCIQ®︎診断士
「どうせ自分なんて恋愛も結婚もできない…」と自信をなくしている方の背中をピシッとさせてポンッと押したい、という想いから恋活/婚活スクール【and her(あんどはあ)】を運営。あなたを「また会いたい」そして「ずっと一緒にいたい!」と思われる人に育てます。