SNSに何か投稿しようとしたとき、「こんなことを書いたら誰かを傷つけるかも」と考えてしまうことがあるでしょう。エッセイ漫画を投稿しているゆすぎさんもその1人です。そんなゆずきさんがSNS投稿に対する葛藤を描いた作品『脳内自動字幕生成に、気分を左右されてた話』がX(旧Twitter)に投稿されました。
それは、作者が朝食を食べているときのことです。二日酔い気味の朝、白米やみそ汁を食べながら「白米最高〜」と幸せをかみしめていた作者は、その気持ちをSNSに投稿しようとします。
ところが投稿しようとすると、頭の中に突然カンペが浮かび上がります。そこには「ってことはパン派の人は損してるってこと?」という言葉が。作者は、パン派の人に配慮しなければならないのではと考え、投稿するのを思いとどまります。
別の日、夕食を外で済ませながら作業をしていた作者は、SNSで「自炊すると生活が整う感じがして好き」という投稿を見つけます。すると今度は、「でもさ外食だって生活を整えるための選択じゃん」と、心の中で反論してしまいました。
しかしその後、投稿を読み返した作者は、投稿には「外食は生活が整っていない」などとは、どこにも書かれていなかったのです。
相手が実際に発した言葉と、脳内カンペが勝手に付け加えた意味を混同していたことに気づいた作者は、これまでにも「声が通るね」「今日は早く帰れてよかった」「既読が早い」といったシンプルな言葉を、自分の頭の中で勝手にフル編集していたことを思い返します。
さらに、朝の「白米最高〜」という投稿をパン派に配慮しなければならないと思っていた自分にも、自分がどんだけ白米代表の権限を持ってると思ってたんだろうと赤面してしまうのでした。
同作について、作者のゆすぎさんに聞きました。
この思い込みのクセは多くの人に共通
—同作を描かれたきっかけを教えてください。
ネットで荒れた書き込みを見て、「なんでそんな解釈になるんだろう」と違和感を覚えることがありました。でも、その考え方ってネットだけじゃなくて、自分も日常でやっていることに気づいたんです。それが、この作品を描いたきっかけです。
—読者からの反響で印象に残っているものはありますか?
「私もこれです」「SNSをやっている人全員に読んでほしい」といった声が印象に残っています。場面は違っても、この思い込みのクセは多くの人に共通するものなんだなと感じました。
—その後、脳内カンペからは解放されましたか?
まったく解放されません(笑)でも、自分が相手の言葉に脳内カンペを重ねてしまうように、相手も私の言葉を、その人なりの脳内カンペで受け取っているのかもしれないと思えるようになりました。
そう考えると、「本当は伝えたかったことと違う形で伝わっているのかもしれない」と立ち止まれるようになって、以前より振り回されることは減った気がします。
—作中で紹介されたもののほかに印象に残っている脳内カンペはありますか?
仕事で休暇を申請したとき、職場の方に「まあ、繁忙期に休まれるよりはね」と言われたことがありました。その瞬間、「みんな休んでいないんだから、個人的な休暇で休むなよ」という脳内カンペを勝手に読んでしまって、すごく嫌な気持ちになったんです。
でも、言葉をそのまま受け取れば、「繁忙期に休まれるよりはマシ」という意味なんですよね。休暇を否定されたわけではなくて、自分が言葉以上の意味を読み取って苦しくなっていたんだと気づきました。
<ゆすぎさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/cedarfieldsnow
▽連載作品『自分と仲良くなりたいんだわたしは』(はちみつコミックエッセイ)
https://888ce.over-lap.co.jp/series/4711/