晩ご飯をたずねたとき、「なんでもいいよ」などと言われてモヤモヤしたことがある人も多いでしょう。漫画家・うめやまちはるさんの作品『心曇る日は ご自愛ごはんを』の第2話『てきとうみそ汁』では、そんなモヤモヤと過去の自分を重ね合わせたエピソードが綴られます。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、約1100のいいねが寄せられました。
主人公は、うつ病の療養のために専業主婦をしています。今日の夕飯を買うためにスーパーにやってきましたが、病気も相まって判断力が低下し、1時間経ってもなにも買えずにいました。
そこで主人公は、旦那に「夕飯なに作るか決められないどうしよう」とメッセージを送ると、返ってきた答えは「てきとうでいいよ」。主人公は「それができないから困ってるのに~」と嘆きながら、結局30分悩んでお弁当を買ってきました。
主人公は家に着いても、「お弁当これでよかったかな」「でもてきとうにって言ったってねぇ…」と悩んでしまいます。そのとき、ふと会社員時代の自分を思い出しました。
かつて働いていた会社の上司は、主人公に「これまとめるの頼めるかな?てきとうにうまくやっといて!」と書類を丸投げされました。てきとうとは言われたものの、ちゃんとやっておかないとまずいのでは?と考えた主人公は、夜遅くまで必死に作業をしつづけます。
しかしその結果、上司からは「こんなにちゃんとしなくてよかったのに!」「こんなのに時間かけて…ほかの仕事ちゃんと回ってるの?」と逆に怒られてしまいました。落ち込む主人公に、同僚は「てきとうでいいって言われたんだから、てきとうに済ませればよかったじゃない!」と、ジュースを渡して励まされます。
真面目すぎる主人公は「てきとうがうまくできていたらもっと生きやすかったのかな…」と、会社員時代の自分と今の自分を重ね合わせました。
そのとき、旦那から今から帰るとの連絡が届きます。夕飯のお弁当にあわせて、即席みそ汁も作ろうと考えた主人公。味噌、乾燥わかめを器に入れ、ネギはキッチンバサミで切っていれます。顆粒だしを切らしていたため、かつおぶしを直接器に投入しました。
そのときちょうど、旦那が帰宅します。みそ汁をすすった2人は、汁物の暖かさに心も温まります。
旦那はみそ汁に入っていたかつおぶしを見て「へー!アイデアだね!」と話すと、主人公は「そんなんじゃないよ!てきとうだよ…!」と言いました。そのとき主人公はふと気付きます。今日のみそ汁も、雰囲気と目分量でてきとうに作っていました。
あんなに深刻に悩んでいた『てきとう』だったのにと、思わず腹を抱えて笑ってしまいます。そして主人公は、あのころの私に「がんばってえらいね!でももっと肩の力抜いてもなんとかなるよ!」とこのみそ汁を飲ませてあげたいと思うのでした。
読者からは「てきとうって難しいよね…」「このみそ汁、私も飲んでみたい!」など、共感の声があがっています。そこで、作者のうめやまちはるさんに話を聞きました。
手の抜き方が分からなかった日々を思い出しながら描いた
―同作を描こうと考えたきっかけについて教えてください
やるならちゃんとやらなきゃと思うことが多くて、それでうまくいかなくて周囲から「もっと要領よくうまいことやりなよ」と言われることが度々あったように思います。かといって手の抜き方もわからず、どんどん追い詰められてパニックになっていた記憶があります。そんな日々のことを思い出しながら描きました。
―「てきとう」の考え方などは、ご自身の経験をもとに描かれたのでしょうか?
そうですね。経験したことや感じたことを、読む人に伝わりやすいように再構成して描きました。
―「てきとう」ながらも心のこもった料理にじんわりと来ました。『心曇る日はご自愛ごはんを』には、今回のようなレシピが他にも紹介されているのでしょうか?
はい。ほかのお話にも、食を通して心が元気になっていく話が描かれています。お話に出てきた料理のレシピもおまけで載っています。温かい気持ちを込めて描きましたので、それが伝わったら嬉しいです。
<うめやまちはるさん関連情報>
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『心曇る日は ご自愛ごはんを』
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