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子どもの泣き声で頭が真っ白に…大人になってADHDと診断された30代シングルマザー 「母親なのに」と責め続けた日々は変えられるか【社会福祉士が解説】

もくもくライターズ もくもくライターズ

まどかさん(仮名・30代)は、2歳の娘を育てるシングルマザーです。大人になってからADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けた彼女は、子育てと家事の両立に日々苦労しています。「洗濯物を干そうと思ったのに、子どもが泣いて気づいたら夕方。ご飯の準備も忘れていた」という経験は珍しくありません。周囲からは「母親なのにだらしない」と見られることもあり、自分を責める日々が続いています。

「子どもが泣くと頭が真っ白になる」「予定が崩れるとパニックになる」など、発達障害のある親が子育てをする中で、自分を責めてしまうことは少なくありません。しかし、適切な支援や工夫を知ることで、改善できることもたくさんあります。

発達特性のある人が直面しやすい「子育ての壁」――よくある4つの困りごと

発達障害のある親が感じる「子育ての壁」は、主に4つの困りごとが原因となっていることが多いといわれています。

▽感覚過敏|泣き声や騒音が苦痛になる
赤ちゃんの泣き声、食器の音、テレビの音……。些細な刺激でも、発達障害のある親にとっては「身体的苦痛」を伴うことがあります。結果として、子どもに冷たくしてしまったり、自分を責めたりしやすいのです。

▽マルチタスクの難しさ|同時進行ができない焦り
食事の準備をしながら泣く子どもに対応する、電話に出ながら洗濯物を取り込む…。いわゆる「ながら作業」が極端に苦手な人もいます。「効率が悪い」とご自分を責める必要はありません。

▽予定外の出来事に弱い|急な変更がストレスの引き金に
「今日は保育園のお迎えが早まります」といった連絡ひとつで、頭が真っ白になる人も少なくありません。発達障害がある人々にとって見通しが立たない状況は、混乱と不安を招きやすい要因です。

▽コミュニケーションの難しさ|子どもの気持ちが読めない苦しさ
発達障害のある親の中には、子どもの表情や声のトーンから感情を読み取るのが難しい人もいます。結果、「冷たい親だと思われている」と感じ、孤立感が深まるケースもあります。

「できること」を増やす工夫――家庭で実践できる対処法

子育ての壁を解消し、できることを増やすには工夫も必要です。家庭内でできる対処法を見てみましょう。

▽ルーティン化と視覚支援ツールの活用
朝・夜の流れをスケジュールボードで共有したり、「あと5分でお風呂」とタイマーを使って知らせるなど、見通しを「見える形」にすることで、親も子どもも落ち着きやすくなります。「今日は予定通りできたね」と言葉で確認することも効果的です。

▽パートナーや家族との役割分担の明確化
「家事は私が全部」「育児は自分の責任」という考えを手放し、どの時間・どの作業を誰が担当するかの詳細を明確にしておくと、突発的な事態にも対応しやすくなります。紙に書いて貼っておくこともおすすめです。

社会の仕組みを味方に――支援制度・サービスの活用法

社会の仕組みや福祉サービスを活用することも大切です。

▽地域の子育て支援サービスを活用する
自治体の保育園や認定こども園では一時預かりサービスが、子育て支援センターでは育児相談や親子の交流の場が利用できます。「たまには休みたい」「第三者に話を聞いてもらいたい」そんな小さなSOSでも、十分に相談していいのです。

▽発達障害者支援センターでの相談
専門職が、生活リズムや環境調整の方法を一緒に考えてくれます。発達障害のある親自身が相談に訪れるケースも増えています。支援センターを通じて、医療・福祉・教育機関との橋渡し役にもなってくれます。

心を守るために――「がんばりすぎない」子育てのすすめ

発達障害のある親が子育てをする上で、心を守るためには何が必要でしょうか。

▽「完璧な親」を目指さない
発達障害のある親が直面する困難は、努力不足ではなくご自分の特性と環境との不一致です。「得意なこと」と「苦手なこと」を正しく区別し、 苦手な部分は“仕組み”や“他者”の力を借りることが自然です。

▽支援を受けることは「弱み」ではなく「強み」
頼ることを「申し訳ない」と感じる必要はありません。支援を活用できる人こそ、長く子育てを続けられる人です。社会全体で子育てを支える、その意識を広げていくことが大切です。

▽オンラインコミュニティでの情報交換・孤立感の解消
一人で不安や悩みを抱えたままでいるのも、あまりよくありません。オンラインコミュニティを活用することで、仲間と悩みを共有しながら、少しずつ自分らしい子育てを探していくのもひとつの手です。子育て世代向けのオンラインコミュニティの他、発達障害の当事者会などもあります。無料で参加できるものもありますので、ご自身に合ったものを探してみるのがおすすめです。

「困っている親がいる」ことを、もっと当たり前に

発達障害のある親が感じる悩みは、個人の問題ではなく、社会全体の課題とも言えます。支援を活用し、つながりを持ち、少しずつ「自分らしい子育て」を取り戻すこと。その一歩が、同じ悩みを抱える誰かの希望になります。うまくいかない日があっても、親であるあなたは十分がんばっているのです。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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