「お腹に優しいうどんを食べようと「ふく福」へ行った。受付タブレットの前でおばあさんが悪戦苦闘してた」
レストランの入り口で、受付人数などを入力するデジタル機器の扱いに慣れていない高齢の女性に出会った男性。さりげなくサポートした後、「どうもありがとうございました」「機械は難しいですよね」「全然わからんの」と言葉を交わしました。
その後も、高齢女性や男性の周囲には心あたたまるできごとが連鎖したそうです。そのときのことについて、鹿児島県に暮らす外山雄大さん(@toyamayuudai)に詳しい話を聞きました。
受付のタブレットに、四苦八苦する姿を見て
お店の受付で手こずっていた高齢の女性に手を差し伸べた外山さん。飲食店の受付タブレットの前で高齢女性を手伝って、待合席の隣り同士に。
客席への案内を待つ間、外山さんがメニュー表を見ていたら、高齢女性もメニュー表を探してキョロキョロ。 その様子をそばで見ていた子ども連れの女性が、「これどうぞ」と自分が見ていたメニュー表を差し出しました。
外山さんや女性のやさしい心遣いに、「ここは優しい人ばかりですね」と高齢女性は感激。
このお店のシステムに慣れていないようで、受付番号が呼ばれた際も、名前で呼ばれないために自分の順番が来たとは気づかず、外山さんが「ついに順番が来ましたよ!」と教えてあげたそうです。
「こちらへどうぞ」と店員さんに促され、受付の列を抜けた高齢女性ですが、くるりと振り返ると、外山さんのそばへ。
「僕の手を取って耳もとで、“今日は私の誕生日なの。ひとりだからちょっと美味しいものを食べにきたのよ”と教えてくれたのです」。
女性に年齢を聞くのは失礼だと思いつつ、「おめでとうございます」の言葉とともに年齢を尋ねた外山さんに「84歳になりました」と答えると、客席へ向かっていきました。
突然のグッドアイデアに、女性が涙
その後、外山さんもテーブルに着席。飲食中、あるアイデアが浮かびました。
「あの高齢女性にお誕生日のプレゼントをしようと思いついたんです。 メニューにケーキはなかったけど和風パフェがありました」
高齢女性を案内した店員さんを呼び止めて、和風パフェをオーダー。高齢女性のテーブルへ運ぶようにお願いすると、店員さんは「もしかして、粋なこと考えていらっしゃいます?完璧なタイミングで提供します!おまかせください」 と告げたそう。
外山さんの座るテーブルから高齢女性のテーブルは見えませんでしたが、「今半分くらい食べてます」「もうすぐ食べ終わりそうです!」と店員さんが随時報告。
食事を終え、会計をしようとする外山さんのもとにやってきた高齢女性は涙を浮かべ、「本当にありがとうございました、よい誕生日になりました。涙が出てきます」と改めて感謝の思いを口に。
外山さんも「良い誕生日をお過ごしください。お誕生日おめでとうございました」と返しました。
「うどんを食べに行っただけだったんだけど、偶然の巡り合わせとマニュアルではない心からの接客の店員さんのおかげで僕の方がすごくすごく幸せな気持ちになれた」と語った外山さん。
そんな思いやりあふれる投稿には、
「粋なお誕生日プレゼント。幾つになってもお祝いされるのは嬉しい」
「自分のおばあちゃんと重ねて読んでいたら涙が」
「みんなが幸せになる世界」
とやさしいコメントが書き込まれました。
また、タッチパネルでの入店受付やタブレットでの商品オーダー、セルフレジでの購入などさまざまな場面でデジタル化・省人化が進んでいることに対してのひと言も。
「タッチパネルや人相手の受付ではなくなってしまい、ご年配で慎ましくされてる方はついていけない」
「同居していた義理の父も、外出時ついでの外食が減りました。気軽に入れた店の注文がモバイル化になっての事です。 機械に疎い年寄りは駆逐される」
「困っている人を助けるのは、よくあることです」という外山さんは、この日に限らず、ファミレスやコインランドリーで高齢者のお手伝い。
「僕自身も、初めてのことに戸惑って助けられたこともありますしね。先日はガストで高齢男性に操作を教えてもらいました」
小さな幸せを探している、という外山さんは、「敬天愛人(けいてんあいじん)」をテーマとする鹿児島の県民ヒーロー薩摩剣士隼人の監督。薩摩剣士隼人は県内各地で活躍するほか、YouTubeでもさまざまな動画を公開しています。
◼️外山雄大 X @toyamayuudai
◼️薩摩剣士隼人 YouTube https://www.youtube.com/user/hayatoproject