京都市北区の福祉施設「スウィング」の利用者やスタッフが戦隊ヒーローにふんしてごみを拾う活動「ゴミコロリ」が、200回を迎えた。ごみ拾いにまつわるエピソードや思い出が詰まった場所を「ゴミコロリ史跡」と名付け、案内図を作成。当日はごみを集めながら史跡も巡った。17年にわたる活動にこめた思いとは-。
スウィングは障害者総合支援法に基づく生活介護事業を行っている。ゴミコロリは生産性にとらわれない働き方や活動を見つけようと、2008年に始めた。月1回、地元の上賀茂地域でごみを拾い集めている。近年は南区東九条などにも取り組みを広げている。
戦隊ヒーローにふんして青色のマスクや衣装を身につけるのは、「『何やってるの』と突っ込みどころを持たせるため」と木ノ戸昌幸代表(48)。回を重ねるにつれ、ヒーローたちがごみを拾う姿は、地域でおなじみの光景になった。
利用者は普段、福祉制度を使ったりスタッフに支援してもらったりして「ありがとう」と言う立場にある。一方、ごみ拾いでは道行く人から「ありがとう」と声をかけられることもしばしば。主体的に活動することで、自らが社会に働きかけている実感を持てるようになったという。
200回目の6月15日は、利用者や市民ら52人が参加した。活動に賛同する全国の福祉施設などが「ゴミコロ支部」を結成しており、岐阜支部からの参加もあった。
スタート直後から大雨に見舞われたが、雨宿りしながら一つ一つごみを拾い上げた。近年は幸か不幸か、ごみがあまり落ちていない「ごみ不足」に悩まされているという。それでもこの日は「久しぶりに見た」(利用者)という空き缶をはじめ、ペットボトルや傘などを回収した。
合間には史跡を回った。「ファン第1号跡」はその一つ。地域の子どもたちと出会う機会が多い烏帽子児童公園を指す。向かいにある上賀茂児童館と共に定期的に清掃活動をするなど、今でも関わりのある公園という。
スウィング利用者の辻井美紗さん(41)は「ごみを拾っていてありがとうと言われるとうれしい。やっていてよかったと思う」と話す。
木ノ戸さんは「お金になるかどうかは別として、『これが自分の仕事なんだ』と胸を張って取り組める環境をつくりたいと思って始めた。子どもたちのリアクションもよく、やる側の楽しさもぐっと上がっている」と17年の活動を振り返った。