死後の世界のことを誰しも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。そんな死後の世界をテーマとして、漫画家・赤信号わたるさんがX(旧Twitter)で公開した作品『なんか死んだ話』が、多くの読者の共感を呼んでいます。
物語は、主人公が死後の世界へ訪れるところから始まります。長い列に並び閻魔大王の元へ行くと生前の行いを人気野球ゲーム「パワフルプロ野球」のステータス風な成績表で提示されました。主人公は「悪人ではないが、特筆すべき功績もない」とされ、天国の3軍行きと告げられます。
その成績表には「チャンス」がバツ印で示されており、理由は1年前に初恋の相手に告白しなかったことからきているそう。閻魔大王から「告白していれば成功していた」と知らされ、主人公は深い後悔に苛まれます。
さらに、主人公が趣味で描いていた漫画についても評価されますが、編集者のような厳しい指摘も受けます。特に作品に登場する犬のキャラクターが高く評価され、「チャンスを逃した」と再び指摘される始末に。その後、愛犬のコジローと再会しますが、コジローは天国の1軍へ行くことが決定しています。主人公は3軍行きが決定しているため、またもや別れが訪れる悲しい展開になりました。
そんな話をしている中、閻魔大王の部下から主人公が息を吹き返したと報告が入ります。閻魔大王は医学の進歩に驚きながらも、「戦力外通告」とし、主人公を現世に戻すのでした。
生き返った主人公は、確かに記憶に残っている閻魔大王との邂逅を思い出し、初恋の相手に告白し、漫画制作に励み、新人マンガ大賞を受賞します。その後、彼女と共に暮らし、将来は天国の1軍に行きコジローと再会することを目指すのでした。
同作の読者からは「人間きっかけがあればいつでも変われるってことか...」「素晴らしい!俺も頑張ろうって気になった」など、賞賛のコメントが多くあがっています。
死後の世界に“パワプロ”導入 発想のきっかけは?
作者の赤信号わたるさんに同作について詳しく話を聞きました。
ー「死後の世界」という大胆なテーマでしたが、このアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか?
死後の世界を描いてみたいという気持ちは以前からありました。自分だけではなく大抵の人が一度は想像したことがあると思います。ただ、それを重く描くのは嫌だったので、できるだけゆるーく描いてみたいと思ったのがきっかけです。
ー「天国の3軍」や「パワプロ風の成績」など、コミカルな表現が多くとても面白い内容でした!シリアスなテーマとユーモアのバランスはどのように意識されましたか?
オチなども考えずに、キャラが話していったらどうなるかを描いてみたんです。主人公と閻魔様が世間話でもしていたら…というくらいの感覚で始めたんですが、描いているうちに意外と話がどうにかなって、自分でも驚きました。
ー「人生はチャンスで変わる」という強いメッセージを感じたのですが、これはご自身の経験や実感が反映されているのでしょうか?
「こういうメッセージを伝えたい」と思っていたわけではなかったのですが、描いていくうちに主人公のことも好きになって、希望を持てる話にしたいと思いました。実際、自分自身も選択を迫られた時に弱気になったら「でもここで勇気を出さんと後で後悔するかもしれんぞ!」と閻魔様のように自分に言い聞かせています。
<赤信号わたるさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/GoAkashin
▽書籍『全てを筋肉で解決する童話』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTC5W9CJ