2024年、茨城県動物指導センターに黒い小さな子猫が収容されました。よく見ると、首周りにだけ毛が生えておらず、右腕が変形しています。
センター職員によれば、子猫は首にリボンがきつく巻かれた状態で保護され、役場を経由して持ち込まれたとのこと。
生まれたばかりの頃にリボンが巻かれたのか、成長した子猫の首周りにリボンが食い込み、苦しくてもがいたのか、右腕も首のリボンに引っかかりそのまま変形しているのだと言います。
無配慮でつけたのか、卑劣な虐待か
リボンをつけたのはどう考えても人間ですが、どんな思いで子猫の首に巻きつけたのでしょうか。
「かわいいな」と思って巻きつけたとしても、程なくして成長し体が大きくなる想像は至らなかったのでしょうか。あるいは「かわいいからつけた」ように見せかけた卑劣な虐待だったのでしょうか。いずれにせよリボンを巻きつけ、放置した人の罪は深いと言わざると得ません。
この子猫の存在を知った動物保護団体、Delacroix Dog Ranchのメンバーは、強い憤りを感じ、迷うことなく保護を決意。適切な治療とお世話をしながら、子猫を幸せへと繋ぐことにしました。
健康な皮膚が再生
子猫につけられた名前は「マルコリーニ」。
保護後すぐに動物病院へと連れて行き、まずは治療を行ってもらいました。獣医師によれば、「首周りは程なくして治る」と言い、また変形した右腕も「今は痛いかもしれないが、リハビリを重ねれば動かせるようになるだろう」と言ってくれました。
獣医師の言葉通り、マルコリーニの首は健康な皮膚が再生しました。右腕も数日で動かせるようになり、成長と合わせて変形が治り、健康になってくれることが期待されました。
「守ってあげたい」と思わせる不思議な魅力
苦しさや痛みから、悲しい表情のマルコリーニですが、健康を取り戻すにつれ元気になり、無垢な表情で人間に「なでて」と甘えてくる素ぶりを見せてくれるようになりました。
おっとりマイペースな性格で、運動が少々苦手。歩こうとした先でずっこけてしまうこともあり、人間に「守ってあげたい」と思わせる不思議な魅力を持つ猫でした。
心ある人たちの連携で、ついには「ずっとのお家」も
体が完全に健康になったところで、団体で里親募集を開始すると、すぐに「うちにおいで」の声がかかりました。
里親希望者さんはマルコリーニのこれまでの経緯と、独特の性格に一目惚れし、やはり「守ってあげたい」と思ったと言います。
人懐っこいマルコリーニは、この里親希望者さんの家にもすぐに馴染み、後に正式譲渡が確定。今では温かい家庭の中で、スクスク元気に過ごしているそうです。
首に巻かれたリボンによって、生命の危機にあったマルコリーニ。心ある人たちの連携と善意で健康を取り戻し、幸せな猫生をつかんでくれました。本当によかった!
Delacroix Dog Ranch
https://ddranch.jp/