まだナデナデできないけれど、人馴れ修行中の日々も楽しい。そう語るのは、2匹の三毛猫と暮らすkinako_cat_ankoさん。飼い主さんは2022年3月、人慣れしていない保護猫姉妹をお迎え。少しずつ心を開いてくれている愛猫の愛くるしさをSNSで公開している。
人馴れしていない2匹の三毛猫を迎えて“初の猫ライフ”がスタート
小学生の娘さん2人が猫と暮らしたがっていたことから、飼い主さんはお迎えを検討。まずは猫を飼うことの責任を話し、お世話の仕方をみんなで調べるなど、家族会議をした。
その後、保護猫を迎え入れようと思い、近くにある保護団体のウェブサイトをチェック。そこで娘さんの心を奪ったのが、きなこちゃんとあんこちゃんだった。
2匹が保護されたのは、山中にある資材置き場。
「10月頃(推定)に生まれて、12月頃に保護されたそうです。どうやって2カ月間、生き延びていたかは不明。保護当時、母猫はいなかったようです」
過酷な状況を生き抜いてきたからか、2匹は人間嫌い。初めての面会時には保護団体のスタッフから、「警戒心が強くて、懐くまで1年以上かかると思うけど大丈夫ですか?」 と、念押しされるほどだった。
「初めて猫を飼うのであれば、もう少し人馴している猫ちゃんのほうがいいよ、と諭してくれたのですが、長女の強い想いにより、迎え入れることになりました」
みんなでお世話をして、辛抱強く人馴れさせていこう。そう決意し、飼い主さんたちは新しい家族を迎え入れた。
冷蔵庫の裏でかくれんぼ!警戒心MAXな2匹を迎えて…
お迎え初日の2匹は、警戒心MAX。不安な気持ちをなんとかなだめようとするかのように、猫トイレの中で身を寄せ合い、硬直。
2日目には冷蔵庫の裏で、ほこりまみれになりながら身を隠していた。
少し変化が見られたのは、お迎え3日目のこと。きなこちゃんは変わらず、冷蔵庫の裏に隠れていたが、あんこちゃんは人間がいるリビングを探検し始めた。
少しでも安心できる場所を与えたいと思い、家族は段ボールの猫ハウスを製作。想いも虚しく、制作した当日は住民不在の状況になったが、翌日、2匹は“くつろぐ場所”と認識。手作りハウスの中で、まどろんでくれた。
徐々に、拠点としていた冷蔵庫の裏に隠れなくなってきた2匹。その様子を見た飼い主さん家族は猫と人間が過ごす空間を分け、愛猫がより落ちつけるよう、工夫した。
「例えば、カーテンの外側にハンモックと猫ハウスを置きました。カーテンの外側は猫が安心してのんびりするところ、カーテンの内側は人間が生活するところにしました」
それでも、半年ほどは近づけた手を爪で引っかかれる日々。飼い主さんは猫のパーソナルスペースにグイグイ入り込まないように気をつけながら、ゆっくり心の距離を縮めていった。
明日はナデナデできるかなと期待する日々の楽しさ
優しい見守りが功を奏したのか、2匹は徐々に家や人に慣れていき、迎えて1年ほど経つ頃には、リビングの猫ベッドでゴロゴロ。おもちゃを出すと、気まぐれに遊んでくれるようにもなった。
「手を近づけると、匂いを嗅ぎにきてくれて嬉しい。ナデナデしようとすると飛び跳ねて逃げていってしまいますが、最初の頃とは違い、近づいても逃げなくなった。それだけで大満足です」
今も絶妙な距離感はあるが、一緒に暮らす中で2匹はかわいい仕草もたくさん見せてくれるようになった。
「きなこは好奇心旺盛で、いたずら好き。夜な夜な引き出しを器用に開けて、ペンを盗んで遊んでいます」
対して、あんこちゃんは正確な腹時計の持ち主。ご飯の時間が近づくと、30分前から飼い主さんの視界に入り、圧をかける。
2匹は仲良くじゃれ合ったり、寄り添い合って眠ったりし、マイペースな暮らしを満喫。かわいらしい猫団子を見るたび、飼い主さんは癒しを貰う。
「お互い、依存しあいながら生きている感じです。2匹でじゃれ合っているのを見ていると、姉妹で迎え入れてよかったなと思います」
ちょっとした仕草を見るだけで、心が満たされる。いつ人馴れしてくれるのだろうと、毎日、楽しみ。そんな暮らしを送る飼い主さんは似た状況の方に向け、「急がば回れ」の精神で人馴れしていない猫との生活を楽しんでほしいと話す。
「メディアでは短期間で人馴れする猫が多く紹介されていますが、数年経ってもなかなか懐かない猫もいます。焦らず気長に、猫を眺めて癒されてほしい。明日はナデナデできるかなと期待しつつも叶わない“修行の日々”も楽しいです」
猫心を最優先にし、心の交流を図る飼い主さん家族。その温かい気持ちは、きっと2匹の愛猫にも届いている。