文明開花から幾星霜、もはやドラマや映画の中でしか見ることがなくなったジャパニーズ・クラシック・ヘアスタイルこと丁髷(ちょんまげ)。2024年の今、プライベートで丁髷になってしまった謎の男性の存在がにわかに人々の知るところとなり、SNSが騒然としている。しかもこの人、飲食店のバイトに「ちょんまげでも問題なし」と採用されたというのだ。
東京都在住のとりにくさん(@tarakosan114)。美術大学中退の23歳で、もともと昭和歌謡を好んで聴くなどレトロな趣味やスタイルを楽しんでいたが、その“延長”で5年ほど前からは毎日和服で過ごすようになったという。
そこからちょんまげに行くにはいくつもハードルがあるように感じるが、どういう経緯、理由で実践するようになったのだろう。とりにくさんに取材した。
「和服を着るようになり、いっときは髪色を派手にしたりもしていましたが、現代風の髪型は服装にも自分の頭の形にも合わず模索していたところ、ちょんまげに行き着きました」と話すとりにくさん。いや、それにしてもすごいインパクトです。
「人からはよく『勇気がいるでしょう?』『覚悟が決まってるね!』と言われますが、ただ好きな髪型にしただけで何の思い切りもありませんでした。普通の人が『好きだから』『かっこいいと思うから』という感覚で色々な髪型にするのと変わりません」
—ちょんまげならではのエピソードは
「まさか本物だとは思わないので、カツラと間違われるのが難点と言えば難点です。また、外を出歩くと、一般人なのに『もしかして有名な俳優じゃないか、何かの撮影じゃないか』と期待されたりするので申し訳なさもあります」
「好きでやっているので苦になることは特にないのですが、強いて挙げるとすれば仕事探しに苦戦することと、悪評が広まりやすいので怖い(例えば外で泥酔してしまったり、SNSの投稿で不適切なものがあったりした場合など)ことですね」
—「うそだろ、、、!???受かったよバイト...しかも丁髷のまま接客でなんら問題ないと....」という投稿に目を疑いました
「不採用でもともと、裏方ならまだしも接客となれば尚更見込みは限りなく薄い、そう思って受けましたので、採用と聞いた瞬間は衝撃で頭が真っ白になりました。数カ月掛けて何件も総当たりするつもりでいましたから、採用してくださったことには感謝と喜びと驚きでいっぱいです」
—これまでバイトに落ちた経験は?
「1年半ほど前だったと思いますが、電話口で『剃髪した髷』と伝えると大いに困惑され、紋付袴でちょんまげの証明写真付き履歴書を持参したところ『ほ、本当にこの格好なんですね。地毛???ですよね。ちょっといまだに信じられなくて…』とおっしゃって目を丸くされていました。結果、その時は不採用でした」
—バイトの意気込みを
「ちょんまげであること以前に、これから“一従業員”になるのでインパクトや話題性に頼ることなく、きっちりと勤め上げたいと思っております」
とりにくさんが採用されたのは、沖縄料理店とのこと。写真を見ると、本当によくお似合いです。偶然出会えたら何かいいことがあるかも(ないかも)。