「肩の重みが愛おしかった」猫、ケガで3本足になり保護→愛嬌たっぷりに育ったが急に痩せ細り、腎臓病で虹の橋を渡るまで

渡辺 陽 渡辺 陽

機械に巻き込まれて怪我をした子猫

愛ちゃん(5歳・メス)は、母猫と一緒に暮らしていた。岡山県在住のHさんは、その母猫が産んだ別の子猫が1匹でたたずんでいたので保護したという。後に、Hさんは愛ちゃんの存在を知ったが、母猫と暮らしていたのでそのまま見守っていた。

「私たちがごはんを与えていたし、寝床もありました。その時は生後3ヶ月くらいでした。ところが、愛ちゃんは養鶏場の機械に巻き込まれて、左後ろ脚を怪我してしまいました。夫が保護しようとしたのですがなかなか捕まえられず、季節は夏から冬になってしまいました。脚がちぎれそうになっていて心配だったのですが、ごはんを与えながら保護できる時が来るのを待ちました。愛ちゃんは、片脚を引きずりながらごはんを食べに来ました」

2019年12月26日、夫妻はやっと愛ちゃんを保護して、そのまま動物病院に連れて行ったという。

「獣医さんには、断脚するしかないと言われました。愛ちゃんの命が助かるなら断脚して3本脚になっても構わない、ちゃんと我が家で面倒をみますと伝え、手術してもらいました。」

夫妻は入院中毎日、出勤前と夕方にお見舞いに行った。
「最初は人馴れしていなかったのですが、日に日に私たちに心を開いてくれて、お見舞いに行くとすり寄ってくれたり、看護師さん達にも甘えて、愛嬌たっぷりの子になりました。10日間ぐらいの入院期間を経て、我が家に来ました」

痩せ細った身体で肩に乗る猫が愛おしい

当時、Hさんは、4匹の先住猫を飼っていた。みんな保護猫だった。

「もともと動物が好きで、子供の頃から犬や猫がいる生活をしていました。私は再婚なのですが、今の夫も動物が好きで、怪我をしたり、ひとりぼっちの子を見かけたら放っておけない人でした。1人だと大変でも、2人ならなんとかなると思いました」

愛ちゃんと先住猫の夢ちゃんは姉妹だが、最初は気まずい空気が流れた。しかし、マロンちゃんという肝っ玉母さんのような猫が、愛ちゃんの面倒をよくみてくれたという。

「本当の母猫のようにすごく優しく接してくれました。愛ちゃんの天真爛漫な性格もあって、すぐにみんなに打ち解けました。愛ちゃんという名前は、『みんなにいっぱい愛されて、幸せになって欲しい』と思ってつけました」

Hさん宅には、キャットルームがある。夫が10畳くらいの部屋を手作りしたという。
「ここにはキャットタワーやキャットウォークがあるのですが、3本脚の愛ちゃんには少し高くて、登り降りがしにくかったり、みんなについていけなかったりすることもあります。そんな時、愛ちゃんは、私たちにぶつぶつと不平不満を言いにきます。夫は段差を少し低くして、愛ちゃんも登れる30センチのタワーに作り直しました。今はみんなと一緒に元気に遊んでいます」

保護されて以来、すくすく成長しておデブ街道まっしぐらだった愛ちゃん。2023年7月半ば、急に痩せてきた。末期の腎臓炎だった。
「最初は入院して24時間点滴してもらいました。その後1ヶ月間、週に一度の点滴に通院しましたが、だんだんそれでは間に合わなくなり、今は週に6日間自宅で点滴をしています」

食欲も落ち、マックス4kgくらいあった体重も、今では2kgくらい。

「まだ5歳。まだまだこれから・・・本当にちっちゃくなった愛ちゃん。最悪の腎臓数値なのに、生きたいという気持ちが伝わってきます」

最近はHさんの肩に乗るのが楽しいのか、抱っこすると肩までよじ登ってくることもある愛ちゃん。Hさんは、「肩の重みが愛おしい」と言う。2月23日、愛ちゃんは虹の橋を渡った。

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