『うつ病から仕事復帰の壁』
うつ病を経験し、その体験記を漫画にして発信されている漫画家の如月あいさん（@kisaragi_I）。仕事復帰にまつわる困難を描かれています。
前回の記事では、集中力が続かなくなってしまったなどの理由から制作が進まず、商業連載は難しいと悟られたところまでを紹介しました。今回はその後のお話についてです。
「お仕事どうしよう…何をやろう…」
と、如月さんは悩んだ末、お金や仕事のことはいったん忘れて、やりたいことを思いっきりやろうと開き直りました。
それで、如月さんは久々に漫画から離れ、好きなお菓子作りをはじめます。以前は漫画を描かない日があると、ソワソワして落ち着かなかったという如月さんですが、そのプレッシャーから解放され気兼ねなくお菓子作りに没頭。そのうち、「作ったお菓子を誰かに見てもらいたい」と、レシピ動画を作るようになるなど、活動の幅も広がっていきました。
ここで、あることに気がつきました。漫画を描いている時は、３０分ほどしか続かなかった集中力ですが、２時間もぶっ通しで動画制作に没頭していたのです。
集中力が完全になくなったわけではなかったことに気づいた如月さん。好きなことへの取り組みを通じて、少しずつうつから回復していきました。
漫画家を諦めるという絶望から、お菓子作りを通じて前向きになれたという如月さんのエピソード。X（旧Twitter）のリプ欄にも、共感の声が寄せられています。
「一番いいのは原因から遠ざかることですよね」
「一番の私の鬱の原因って何だろう…考えたこともありませんでした」
「本来やりたかったこととか、それ以外に目を向けてみるのも大切ですよね…！素敵な話をありがとうございます」
うつからの回復のヒント～人間関係と健康・体力～
今回の漫画にも描かれているように、「うつの原因（仕事や人間関係など）から離れる」のは、うつ病の方々に共通して必要なことだといわれています。如月さんの場合、漫画から解放されたことが良かったといえるのかしれませんね。
また、今回の内容を含め、うつ病にまつわる体験談を多数公開されている如月さん。ご自身が身をもって経験したエピソードの数々からは、うつから回復するためのヒントがああ散りばめられているようにも感じます。
如月さんは、小学生の頃にもうつ状態になり、不登校を経験したことがあったそうです。
「先生や親、親戚から過度な期待をかけられたり、学級委員に任命されたりして『常に優等生でいなければいけない』と自分にプレッシャーをかけてしまってました。また担任の先生との相性が悪かったことも原因の一つだと思います」（如月さん）
最初は５日に１回、起きられない日があるという程度だったのが、徐々に状況が悪化し完全な不登校になってしまったという如月さん。しかし、母親や学校の友達に支えられ、３ヶ月ほどで復学できたとのことです。
また、最近になりうつ病を発症した後も、ご友人たちは余計な口出しをせず、如月さんの話を黙って聞いてくれ、如月さんはとても心が癒されたそうです。現在かかりつけの医師も「うんうん」と優しく話を聞いてくれ、診察中に趣味の話や雑談もできるので、通院がとても楽しいと感じているとのこと。さらに、如月さんの夫が話を聞いてくれたことが、ご自身のうつ病の早期発見にもつながったといいます。
「人間関係には本当に恵まれていると思います。感謝しかないです」（如月さん）
しかし、そんな如月さんですが、「人と会うのが辛い」と感じてしまったこともあったそう。うつ症状が酷い時など、友人と会っていても突然体調不良になったりして、途中で帰らざるを得なくなってしまうことも多かったといいます。
うつ症状で人と会うと気分が悪くなるのでは…と感じた如月さん。ところが、医師に相談してみたところ、「ただの体力不足では？」と言われてしまったそうです。療養期間が長く、しばらく外出をしていなかったことが原因だったようで、メンタルの回復には体力も必要不可欠なのですね。
「健康的な生活を送ることが回復に繋がると思います」（如月さん）
うつ病の症状が酷くなると、体力気力がなくなり、外出自体できないこともあります。まずは「よく寝る」「しっかり食べて栄養を摂る」など健康維持に努め、体力が回復したら、軽い運動や外出をしたり、人に会ったりするのが良いと如月さんはいいます。
◇ ◇
「自分の好きなことを、好きなだけやる！という自由な生活を送っております。マンガを描いたり、お菓子作りをしたり、ゲームをしたり、いっぱい寝たりして、しばらくは治療に専念しようと思っております」
現在の状況について、このように語る如月さん。漫画制作については、コミックエッセイを中心に、今描いているうつ病・不登校の内容の他にも、『便秘で5万円飛んだ話』『相撲が好きすぎて力士に会いに行った話』などのエピソードも制作予定。また、同人誌即売会・コミティアへの参加も検討されているとのことです。
また、趣味ではじめた手作りお菓子の販売にもチャレンジしようと考えているそう。
うつ病から、一時期は活動が停滞してしまった如月さん。しかし、現在は少しずつ回復されながら、新たな目標に向かって前向きに進んでいます。
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