山口真さんによる折り紙作品集「折り紙キャッツ&ドッグス プレミアム」(ソシム)が6月22日、発売された。山口さんといえば日本を代表する折り紙作家。おりがみはうすを主宰して数々の作品制作や出版を手掛け、折り紙シーンを牽引してきた彼が今作のテーマに選んだのはタイトル通り猫と犬。日本を中心に世界各国の作家が考案した猫、犬をかたどった個性的な折り紙作品が紹介されているが、どのような思いで編纂にあたったのか。お話を聞いた。
「今作は近年のペットブームに応える形で企画しました。室内のペットをテーマにした作品集は、海外ではあったけど、国内では初めてじゃないでしょうか。普通だったら『ドッグス&キャッツ』なんだろうけど、私は猫派なので『キャッツ&ドッグス』にしたんです(笑)。去年の明けくらいからいろんな作家の作品に目を通して、22作品を選定しました。ここ5、6年は複雑な折り紙も流行っていますので、簡単なものだけじゃなく難関の折り紙までバリエーション豊かです。ぜひ多くの方に読んでいただき、折り紙の魅力に触れていただきたいですね」
作品を選定された折り紙作家たちにもお話を聞いた。一人目は「つままれにゃんこ」などを考案した萩原元さん。
「書籍に作品が掲載されるのはこれが初めてではありませんが、何度経験してもうれしいです。本に掲載されている猫、犬達はどれもとても魅力的なので、自分でも早く折ってみたいです。今回の本でお分かり頂けたと思いますが、すでに多くの作家が手がけている猫という題材で、独自性のある作品にするにはどうしたらいいかを模索した結果が『つままれにゃんこ』でした。折る際には最後の方にある立体的な仕上げを施す工程に気を使っていただければと思います。脱力感のある佇まいは、この仕上げにかかっていると言っても過言ではありません(笑)」
続いて「ペルシャ猫」「脱力猫」などを考案した勝田恭平さん。
「ベテラン作家の名作から勢いのある若手作家の新作までバリエーションに富んだ作品が掲載されている本書ですが、その中に加わることができうれしく思います。まず『ペルシャ猫』を作ってから、その頭部を流用してより一般的な形の猫を作ろうとする中で偶然『脱力猫』が生まれました。もともと表情を作りやすい頭部だったこともあり、脱力した姿ともうまくマッチしたように感じます。気軽に折れるほど簡単な作品ではないのですが、ぜひ固くならずに脱力して挑んでいただければと思います」
猫、犬好きの方にとっても、折り紙好きの方にとっても魅力あふれる「折り紙キャッツ&ドッグス プレミアム」。東京都文京区のおりがみはうす店頭や各種ウェブ通販サイトで販売されているので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
「折り紙キャッツ&ドッグス プレミアム」
著者:山口真
発行所:ソシム株式会社
サイズ:B5判/240ページ
定価:¥2200(税別)
発売日:2023年6月22日
Amazonページ:https://www.amazon.co.jp/dp/4802614195/
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山口真さんプロフィール
1944年、東京生まれ。日本折紙協会事務局員を経て折り紙作家として活躍中。1989年、折り紙専門のギャラリー「おりがみはうす」を開設。日本折紙学会事務局長。OrigamiUSA永久会員。British Origami Society会員。韓国折紙協会名誉会員。日本折紙学会機関誌「折紙探偵団マガジン」編集長
おりがみはうすウェブサイト:https://www.origamihouse.jp/
萩原元さんプロフィール
東京都出身。 5歳の頃より折り紙をはじめる。11年間オーストラリアに滞在。現在は国内を主に活動。主に動物を中心とした生きものをテーマにした作品を創作し、個性的で活き活きとした作風に定評がある。日本、オーストラリア、アメリカ、スペイン、フランス、フィリピン、台湾等で折り紙の展示、講習を行う。
ウェブサイト:https://www.genorigami.com/
勝田恭平さんプロフィール
1986年生まれ。おりがみはうすスタッフ。日本折紙学会会員。主な創作対象は生物。好きな生物はニワトリ。現在は、これまであまり使われてこなかった技法や新しい視点からの作品を模索しながら創作活動を行っている。著書に「勝田恭平折り紙作品集」(おりがみはうす)がある。
ウェブサイト:https://katsuta-origami.com/