「鉄は錆びるから嫌いです」という謎クレーム 悩める鋳造所にユニークな回答続々「侘び“錆”」「地球に酸素があるせい」

塩屋 薫 塩屋 薫

「Twitterで『鉄は錆びるから嫌いです。』的なことを言われたことがあるんですが、次にそう言われた時にどうお返事すれば良いのか教えてください」と投稿したのは1927年創業の「木村鋳造所」公式アカウント(@KimuraFoundry)です。リプ欄には「錆びがたまらんと言うレトロ好きな方もいてますから~」などと、鉄を支持する回答案が寄せられています。

ほかにも「『侘び“錆”もわからない目…節穴ですね』でどうです?錆の侘び寂びは綺麗なのに残念」「『地球に酸素があるせいなんですが』ではいかが?」「ちゃんと手入れしたら錆びにくくなったり、綺麗にする事も出来ますよ。人の心のように…。なんていかがでしょうか?」「『錆びない鉄もございます』『!?』『私共のものづくりに対する情熱と鉄の意志は決して錆び付きません』『おお!!』とかどうだろう」と、「錆」への大喜利のような回答も。

「鋳造」や「鋳物」が読めない人も…

「木村鋳造所」(本社:静岡県駿東郡)Twitter担当者によれば、そのコメントがあった際には「『水はトイレに行きたくなるから嫌いです。と言っているようなものですね。残念ながら弊社にできることはございません』みたいにお答えした記憶が...」とのこと。今回寄せられた趣向が凝らされた返答について聞きました。

――みなさん、いろんな回答を寄せてくださいましたね。

笑ってしまうものや深く考察されたものまでいろいろなご意見を頂きました。みなさん錆を肯定的に受け止めてくださっており、金属を扱う会社として嬉しかったです。「人間も鉄も劣化するのできちんとしたメンテナンスが必要だ」と改めて感じました。

――改めて「鉄は錆びるから嫌い」と言われた状況について、教えてください。

いきなりコメントがきました。「鋳造」や「鋳物」が読めない方(編集部注:読み方は下記参照)、鋳造と鋳物が鉄に関係していることを知らない方も多くいるので「木村鋳造所が鉄に関係している企業と認識してくれている!」と嬉しかったです。でもその反面、錆びは鉄の自然な姿なのでどうしようもないなと思いました。

――前回は「残念ながら弊社にできることはございません」とお答えしたとの事ですが、御社では何か錆対策はされていますか?

やりとりが「錆びるから鉄が嫌い」から始まり、「市販の鉄製品が錆びる。錆びないようにしてほしい」となり、いろいろ錆びのメカニズムをご説明しましたが、BtoB企業のためそれ以上できることがなく、結果的にそのような回答をするに至りました。

弊社には開発部門があり、日々研究をおこなっていますので、鋳物で困ったことがございましたら、何でもご相談いただければ嬉しいです。

――鉄や鋳物の魅力を教えてください。

「鋳物」は「いもの」と読みます!「鋳造」は「ちゅうぞう」と読みます! 鋳物を造ることを鋳造と言います。鋳物は守秘義務で何に使われているか具体的に言えない面もあるのがもどかしく…なじみが薄い物かもしれませんが、実は見えないところでみなさまの生活を支えております。

弊社は2023年で創業96周年になり、鋳造業は古くなった鉄をはじめとした金属を溶かして、新たな製品に生まれ変わらせる循環型の産業です。このリサイクル産業を通して、微力ながらSDGs達成に貢献していきたいと考えております。

◇ ◇

同社の公式Twitterには、工場用の巨大なお風呂のふた、災害時に使えるパズル式パーテーションなど、普段は鋳物の型に使う発泡スチロールを活用したユニークな品も登場しています。

ちなみに、最長の小型四駆自動車模型レーストラックのカテゴリで、コースを発泡スチロールで製作し、3191.58mの世界記録を作ったこともあるそう。鋳物のために培われた切削の技術力の高さにも注目です!

「木村鋳造所」
■公式Twitter https://twitter.com/KimuraFoundry
■公式サイト https://www.kimuragrp.co.jp/

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