台風17号が発生しました。あす27日未明~昼前にかけて小笠原諸島に最接近する見込みで、警戒が必要です。きょう9月26日は、広く秋晴れとなっていますが、過去の台風の記録をさかのぼると台風が襲来しやすい日です。歴史を刻む甚大な被害を及ぼした伊勢湾台風・洞爺丸台風・狩野川台風はいずれも9月26日に列島を直撃しました。
台風17号「クラー」発生 あす27日未明~昼前 小笠原諸島に最接近
きょう26日午前9時、父島の南南東約420キロの海上で台風17号「クラー」が発生しました。
小笠原近海を発達しながら北上し、あす27日未明~昼前にかけて、小笠原諸島に最も接近する見込みです。
その後、進路を東よりに変えて日本の東を北東へ進み、29日(木)には日本の東で温帯低気圧に変わるでしょう。
台風が近づく小笠原諸島ではあす27日かけて大雨や暴風、高波に警戒してください。
関東など本州からは次第に離れるため、直接の影響はなさそうです。
<大雨・雷>
小笠原諸島では、熱帯低気圧から変わる台風の本体や台風周辺の暖かく湿った空気の影響で、あす27日にかけて大気の状態が不安定となるでしょう。あす27日は雷を伴った激しい雨が降り、大雨となる所がある見込みです。
あす27日午前6時までの24時間に予想される雨量(多い所)
小笠原諸島 100ミリ
<強風・高波>
あす27日にかけて風が強まり、うねりを伴って波が高く、しける所があるでしょう。
予想される最大風速(最大瞬間風速)
きょう26日 小笠原諸島 15メートル(25メートル)
あす27日 小笠原諸島 18メートル(30メートル)
予想される波の高さ
きょう26日 小笠原諸島 4メートル
あす27日 小笠原諸島 5メートル
大雨による土砂災害に警戒してください。また、台風の進路や発達の程度によっては、さらに風が強まり波が高くなる可能性があります。高波に注意、警戒し、強風にも注意してください。
9月26日は「洞爺丸台風」「狩野川台風」「伊勢湾台風」の襲来日
9月は台風の上陸数が最も多い月です。過去の台風の記録をさかのぼると、特にきょう9月26日は、甚大な被害を及ぼした台風がいくつも襲来した日で、歴史を刻む甚大な被害を及ぼした伊勢湾台風・洞爺丸台風・狩野川台風はいずれも9月26日に列島を直撃しました。
洞爺丸台風 (昭和29年台風第15号)は、非常に速い速度で26日午前2時頃、鹿児島湾から大隅半島北部に上陸しました。発達しながら北海道に接近し、洞爺丸を始め、5隻の青函連絡船が暴風と高波で遭難し、洞爺丸の乗員乗客1139名が死亡するなどの大惨事となりました。また、北海道岩内町では3300戸が焼失する大火が発生しました。広い範囲で暴風となり、被害は九州から北海道まで全国に及び、1361名の方が亡くなりました。
狩野川台風(昭和33年台風第22号)は、26日午後9時過ぎに静岡県伊豆半島の南端をかすめ、27日午前0時頃に神奈川県三浦半島、午前1時頃に東京を通過し、早朝に三陸沖に進んで海岸沿いを北上しました。南海上の前線が活発化しながら北上したため、東京で日降水量371.9ミリを観測するなど、東海や関東では大雨となり、土砂災害や河川の氾濫が相次ぎました。 伊豆半島中部では、特に集中して雨が降り、大量の水が流れ込んだ狩野川が氾濫、伊豆地方だけで1000名を超える死者が出ました。
昭和最大の被害をもたらした伊勢湾台風
伊勢湾台風 (昭和34年台風第15号)は、9月21日にマリアナ諸島の東海上で発生した台風第15号は、中心気圧が1日に91hPa下がるなど猛烈に発達し、非常に広い暴風域を伴いました。
最盛期を過ぎた後もあまり衰えることなく北上し、26日午後6時頃、和歌山県潮岬の西に上陸しました。上陸後6時間余りで本州を縦断、富山市の東から日本海に進み、北陸、東北地方の日本海沿いを北上し、東北地方北部を通って太平洋側に出ました。
勢力が強く暴風域も広かったため、広い範囲で強風が吹き、伊良湖(当時の愛知県渥美町)で最大風速45.4m/s(最大瞬間風速55.3m/s)、名古屋で37.0m/s(最大瞬間風速45.7m/s)を観測するなど、九州から北海道にかけてのほぼ全国で20m/sを超える最大風速と30m/sを超える最大瞬間風速を観測しました。
紀伊半島沿岸一帯と伊勢湾沿岸では高潮、強風、河川の氾濫により甚大な被害を受け、特に愛知県では、名古屋市や弥富町、知多半島で激しい暴風雨の下、高潮により短時間のうちに大規模な浸水が起こり、死者・行方不明者が3300名以上に達する大きな被害となりました。 また、三重県では桑名市などで同様に高潮の被害を受け、死者・行方不明者が1200名以上となりました。この他、台風が通過した奈良県や岐阜県でも、それぞれ100名前後の死者・行方不明者がありました。
昭和の中で、最も被害が大きかった台風となりました。
気象庁では、重大な災害の起こるおそれが著しく高まっている場合に、最大級の警戒を呼びかけるために、平成25年8月30日から「特別警報」の運用を開始しています。我が国の観測史上最高の潮位を記録し、5000人以上の死者・行方不明者を出した「伊勢湾台風」の高潮が、現在の台風による「高潮特別警報」の基準とされています。
※気象庁HP 災害をもたらした気象事例より引用
10月にかけて台風シーズン
台風は、1年間で約25個発生し、約12個の台風が日本から300 km以内に接近し、約3個が日本に上陸しています。発生・接近・上陸ともに、7月から10月にかけて最も多くなります。9月も終わりに近づいていますが、10月に入ってもまだ台風シーズンは続きます。
関東に甚大な被害をもたらした「令和元年東日本台風」が襲来したのは、2019年10月10日から13日にかけて10月半ばです。
引き続き、台風が発生している際には情報に十分ご注意ください。