50年前のミシンは動くのか? 修理もメンテもいらず→半世紀以上も使われる前提で取説も公開 企業努力にツイ主「すごくない?」

宮前 晶子 宮前 晶子

「実家からミシンを迎えました。 腕が死にました。バイクに載せてミシン屋さん持ってって見てもらったら、汚れだけ落とせば状態すごく良くて修理もメンテもいらないってことだった。 そしてちゃんと使い方調べようと検索したら、ジャノメが公式で説明書公開してて笑っちゃった。50年前の家電が実稼働してると想定してるのすごくない?」

実家で眠っていた約50年前のミシンが、今もなお動くことに驚きを隠せないのは階段巡りツイッターさん(@kaidanmeguri 以下階段巡りさん)。このミシンについての詳細を階段巡りさんと、製造した株式会社ジャノメに聞きました。

当時の取説を公開しているメーカーに感謝

――そもそも、ミシンを手にしたのはなぜ?

「服の修繕をしたくて。ミシン店に購入の相談に行ったら、もし実家などに使っていないミシンがあるなら、それを修理して使ったらどうですか?と言われて、実家にミシンがあったことを思い出したのです」

――持ち帰ると伝えたら、ご実家ではどんな反応でした?

「母に、持っていくのはいいけど大変だよ、と。夜行バスを利用して持ち帰りましたが、あまりの重さに、何度も休憩しながら持ち運びました(笑)」

――その後、ミシン店に行ったというわけですね。

「はい。バイクの後ろに乗せて。母から、“少し前から調子が悪くなっていたので、使わなくなっていた”と聞いていましたが、お店で見てもらったら、特に不調は見当たらず、このまま使えると言われました」

――実際に何か作りました?

「ちょっと試しに動かして雑巾を縫った程度です。最近は服に穴が開くと捨ててしまうことが多かったですが、今後は修繕して着続けたいと思っています」

――洋服を修繕したいから、ミシンを買おうという考えや行動にはなかなか至らないと思います。ミシンの扱いには慣れていた、ということ?

「それが、ミシンを使うのはほぼ初心者なんです。小学生の時に、このミシンを使って雑巾等を縫った覚えはあるのですけど…。当時、ボビンケースを付けることがとても苦手で、それ以来苦手意識を持ったまま。何十年も経ったけど、それを克服したい気持ちもあります」

――前々回の東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)から1969年(昭和44年)まで製造販売のミシン。使い込んだ様子が見てとれます。

「母は、このミシンでいろいろ作ったり、修繕したりしていました。実家には作ったものが置いてあると思います。

ミシン店の方には、当時のミシンは高価なもので、今に当てはめると、パソコンを買うような感覚だったと言われました。アナログにも関わらず、ボタン操作でジグザグ縫いができるなどものすごく複雑な機能を内蔵しています。まさにコンピュータだと思いました。今でも稼働すること、ジャノメさんが当時の説明書を公開してくれていることにも、とても感謝しています」

ジャノメ「いつの時代も “つくる”を大切にしています」

階段巡りさんが稼働することに感動したミシンは、株式会社ジャノメによるミシンで、正式名称はダイカスト製フルオートジグザグ670型“ハイドリーム”。東京オリンピック開催を記念して販売されたものです。ダイヤルひとつで基線変換、ボタンホール、開放レバー、二本針制限の4つの操作を行えるミシンは、発売当初、画期的なもので、従来の2分の1の軽さを実現したことも話題を集めたそう。1965年にはグッドデザイン商品に選ばれ、売上も伸ばしました。

階段巡りさんの一連のツイートに対して、同社総務広報グループは「弊社が行ってきたことが、お客様のお役に立てることに幸せを感じております」と謝意を述べるとともに、「この頃製造のミシンは丁寧にお使いいただいていれば、稼働します。1940年前後に製造された足踏みミシン(お母様の形見)がベルト交換で復活し、大変感激されたお客様もいらっしゃいました」と、この時代のミシンの堅牢さを物語るエピソードも教えてくれました。

当時の開発・製造を知る関係者は既に在籍していないそうですが、「ミシンは単体で楽しむものではなく、別の何かをつくり出すための道具の一つとして、“つくる”を支えてきました。“つくる”の後にその作品をご自身で楽しむ、近しい方などに渡してお互いが喜ぶ、ということにつながっています。

創業101年目となる企業として、これからもしっかりとした品質の製品を送り出し、愛され、その信頼を社の次世代につなげたいと考えています」と話します。なお、株式会社ジャノメでは創業100周年記念ミシン『Epolku(エポルク)』を絶賛発売中。昭和レトロなデザインとカラー、ミシン初心者でも安心のシンプル機能などで作る時間を楽しく演出してくれます。

最近は、ミシンカフェの登場などミシンでのものづくりが脚光を浴びている感も。自宅や実家にあるミシンが動くかどうか確認して、何かを作ってみるのもいいかもしれません。

■階段巡り さんTwitter @kaidanmeguri 
■株式会社ジャノメ サイトhttps://www.janome.co.jp
■「Epolku」(エポルク)専用サイト https://www.janome.co.jp/epolku/

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