「どこから食べる?」 名古屋駅限定の愛くるしいスイーツ「ぴよりん」誕生10周年企画とは

山本 智行 山本 智行

 ヒヨコの形をした愛くるしい表情のスイーツ「ぴよりん」が7月1日に”10歳”の誕生日を迎えるのを受け、この1日から記念企画第1弾がスタートしている。いまやすっかり名古屋の新名物となり、その人気にあやかってマスク、LINEスタンプまで登場するほど。なぜ、そこまでウケるのか。

 「ぴよりん」は地元の食材「名古屋コーチン」の卵を使ったプリンを、バニラの香りのババロアと粉末状のスポンジで包み込んだ生スイーツ。チョコレートでできた目にくちばしや羽、鶏冠までつけ、ふんわりとヒヨコの形に飾り付けている。すべて手作りとあって、よく見ると表情がひとつずつ異なり、ユーモラスでかわいらしい。食べるとほんのり甘く、滑らかな口どけが特徴だ。

 これまで名古屋名物のお土産と言えば、私のイメージでは「坂角のゆかり」「青柳ういろう」「両口屋是清」「きよめ餅」だった(古すぎ?)が、いつの間にやら新商品が続々と現れていた。ぴよりんもそのひとつ。ジェイアール東海フードサービス(名古屋市)が新たな名古屋名物を目指し、2011年に製造、販売を開始すると、着実にファンを獲得し、いまや定番商品に上り詰めている。

 人気の秘密は名古屋駅の専門ショップとカフェの2カ所でしか取り扱っていないレア感だろう。というのも「ぴよりん」は暑さに弱く、揺れるとバランスを崩しやすい繊細な面があるため、輸送が苦手。ジェイアール東海フードサービス販売促進課の依田浩明さんは「ありがたいことに名古屋以外でも販売してほしいとお願いされたり、遠くはシンガポールのお客さんからお取り寄せできないかといったメールも来ました」と話す。

 そんなことからSNS上では「ぴよりんチャレンジ」なる投稿が話題に。これは形が崩れやすい、ぴよりんをいかにできたてのままの姿で持ち帰るかを競いながら楽しむもので、崩れた顔はそれはそれで笑いを誘い、それがまた人気に拍車をかけた。

 今年に入ってからは続々と新商品やグッズが登場。どっしりと安定感のある「ぴよりんロールケーキ」も連日完売しているとか。さらにマスク、LINEスタンプなども売り出しており「スタンプは1週間で1000個近く購入していただき、驚いています」と依田さん。全国区になる日もそう遠くないかもしれない。

 実は私も今回、お土産として、ぴよりん、イチゴぴよりん、チョコぴよりんなど計6個(2480円)を購入。こっそり、ぴよりんチャレンジを試みた。「崩れやすいので大切に扱ってあげてくださいね」。大阪までの道すがら女性店員の言葉を心に刻み、商品の入った紙袋が揺れないように、いつもより慎重に階段を上り降り。ベンチがあっても自分は座らず、ぴよりんを優先し、邪魔者が入っていきなり踏んづけたりしないように目を光らせた。その甲斐あって、チャレンジ成功。何とか無事に目的地の大阪・鶴橋「ロックヴィラ」に到着することができた。

 ここは、ちょこちょこ通う喫茶店。評判の美人店員があいにく不在だったのは残念だったけれど、残る3人はぴよりんの噂はうっすら知っていたようで丁寧に、慎重にゆっくりと箱を開けた。のぞき込んだ、その瞬間の表情と言ったら…。「かわいい~」。玉手箱でも開けたような、とびっきりの笑顔を浮かべてくれ、こっちまでうれしくなった。

 そうそう、今回の記念企画は2つあり、ひとつは「#ぴよりんファーストスプーン」なるもので、これはどこから食べるかをインスタかツイッターに投稿するもの。確かに、いざ、食べようとするとしばしにらめっこ状態に。結局、羽の下の脇腹あたりからメスを入れる形にした。ぴよりん、ごめんね。

 それと、もうひとつの企画は「もう一度食べたいぴよりん」はどれ?というもので、これまで限定販売した人気のぴよりん10羽の中からイチ押しを選び、投票結果上位3位までを8月に復刻販売するという。ラインナップを見ると、どれもこれもかわいらしいが、個人的に味はともかく、ビジュアル的に抹茶はないような気がするが、どうだろう。7月1日には企画第2弾を用意する。

 ぴよりんは、名古屋ひよこ園に在園中だという。将来の夢は「名古屋を飛び出して世界に羽ばたくこと」だ。そのためには、味とふわふわ感をキープしながら輸送に強い体にならなくてはならない。「今後の検討課題です」と依田さんも含みを持たせた。この二律背反性。果たして、ぴよりんの夢はかなうのか。その前に企画の結果も気になるところだ。

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