「塩味」があるのに、なぜ「砂糖味」が見当たらない!? お菓子のフレーバーに隠された小さな謎…メーカーに聞いてみた

平藤 清刀 平藤 清刀

「お菓子のフレーバーに『塩味』の表示はよく見かけるけれど、『砂糖味』の表示を見たことがないよね。何か理由があるのかな?」――何気ない雑談から生まれた疑問を解決するため、メーカーに問い合わせて大真面目に調べてみた。

「塩味」そのものを表記したフレーバーはあるけど…

塩味系のスナック菓子で、袋に「塩味」を表記してあるフレーバーを見かける。原材料表示ではなく、パッケージや袋の目立つ部分である。たとえば本稿の取材に協力していただいた「株式会社明治」のポテトチップスには、「しお味」をはじめ「うす塩」「のり塩」「カイ(海)ソルト味」など、塩そのものの味を前面に出しているフレーバーが数種類ある。

一方、甘いお菓子に「砂糖味」と表記されたフレーバーを見たことがない。探せばあるかもしれないが、それでさえ探さないと見つからないほど少ないということだ。

「砂糖味がないのは、きっと理由があるはず」ということで、明治の広報に問い合わせてみた。

「味表現の名称は、何をテーマに商品を訴求したいかをポイントとして決めています。砂糖は基本的に多くのお菓子に入っていることもあり、訴求ポイントとなりにくいため『砂糖味』という名称がないのではと思います」

なるほど、砂糖の甘さだけで勝負するのが難しいわけだ。しかし、例外もあるという。

「ただ、特別な砂糖を使っている場合などは訴求ポイントとなる場合もあり『黒糖ナントカ』などと表記されることもあるかと思います」

黒糖のほかにも、京都の和菓子によく使われる「和三盆糖」だと、それだけで十分な訴求力があると思われる。

森永製菓株式会社の広報担当にも問い合わせてみた。

「甘味系のお菓子については、砂糖味という表現ではありませんが『バニラシュガー』『わたがし』といったフレーバーの商品を発売したことはございました」

単に「砂糖」だけでは味を想像しづらいから

塩味系にも甘味系にも豊富なバリエーションがあるけれど、「砂糖味」そのものがない理由として「味を想像しづらい」ことが挙げられるようだ。

「甘さだけを訴求ポイントとしている商品は少ないため『おいしいナントカ(フルーツなど)』や『濃厚』など、他の表記で表現されているものが多いように思います」(明治広報)

「商品を発売するにあたって、ナントカ味というのはネーミングの一部ですので、お客様に味を分かりやすく表現し、食べたいと思ってもらうことが重要です。ひと目見て、どんな味か想像できるようにしたいと考えております」(森永広報)

砂糖が甘いことは誰でも知っている。もう一歩踏み込んで、どんな甘さなのかを想像しやすいように「黒糖」「バニラシュガー」「わたがし」など、具体的な表現を工夫していることが分かった。

味をイメージしてもらうことは塩味系のフレーバーにもいえることで、頭の中で過去に味わったことのある記憶を呼び覚まし、お客様に「食べたい」と思ってもらうことが大事なのだ。

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