ネット界隈を不定期でざわつかせる、地方競馬、競輪、ボートレースなどでみられる冗談のようなレース名。ファンの間で語り草になっているのが、2003年のボートレース戸田（埼玉県戸田市）の「『だいこんおろし』の彼女募集記念レース」です。笑わせにかかっているとしか思えない協賛理由を読み上げていた実況の女性アナが、途中でツボにはまってナレーションが数秒間中断したという〝伝説〟を、動画サイトで今なお目撃することができます。神戸新聞社の発行エリアの兵庫県では、こうしたレース名は付けられるのでしょうか。兵庫県競馬組合に聞きました。
競馬関連のシュールな協賛レース名としては、2017年のばんえい競馬の「そして輝くウルトラソウル！杯！」が知られています。最近話題になったのは「冷蔵庫の中身点検記念」（3月6日、ばんえい競馬1R、8頭立て）。ヴァイオリン号とチューバ号という冷蔵庫の中身とはまるで関係がない楽器絡みの2頭で決着しました。
園田競馬と姫路競馬を運営する兵庫県競馬組合によると、個人や企業を対象にした一般公募による協賛競走は1日1レースに限定して園田競馬で2015年から実施しています。協賛費用は個人5万円、企業10万円で、これまでに計86件に上ります。なお新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、2020年3月以降は募集を一時休止しています。86レースの傾向について広報担当者に聞きました。
―これまでの協賛レースを振り返ると傾向はありますか。
「協賛競走は第1から第5レースのいずれかを選択できますが、ほとんどが第5レースです。また個人からの申し込みが大半です」
―変わったレース名は可能ですか。
「競走名称として違和感がないものとし、文字数は13文字以内となります。全角の漢字、ひらがな、カタカナ、英数字とし、絵文字など複雑な文字は使用できません。また、（1）他の競馬場も含め実施実績のある名称（2）重賞競走や特別競走の文字の使用（3）芸能人名や著作権等に関わる名称（4）その他、協賛競走名として相応しくないと判断したものーに当たる際はお断りをしています」
―レース名の傾向を教えてください。
「誕生日が18レース、結婚が16レース、還暦が4レース、定年、卒業が各3レースと節目を記念したものが多いですね」
―印象的なレース名はありましたか。
「お名前の後に『全員集合だよ！』というレース名がありました。昇任おめでとう記念や関西さよなら記念など、季節を感じさせるものもありましたね」
―よそでは、笑いがこみ上げナレーションが中断してしまったこともあったようです。
「実況アナに確認したところ、幸いなことにそうした事案はありませんでした。園田の協賛競走では、協賛の理由をアナがお尋ねしています。例えば、AさんBさんご結婚記念レースでは、ご友人からうかがったエピソードをまとめ、発走前に読み上げました」
親が競馬好きなら、誕生日に誘って親子で記念レースを観戦、といった粋なプレゼントが喜ばれそうですね。レース名のほか、8名まで個室に招待▽協賛競走を収録したDVDを進呈▽協賛競走名と希望番号がプリントされたゼッケンをプレゼントなどの特典があります。協賛競走の再開を楽しみに待ちましょう。
