静岡県伊豆市のある地名が猫好きの間で大きな注目を集めている。
きっかけになったのは地理Bの旅さん(@chiri_b_geo)がSNSに「可愛い地名、猫越(ねっこ)。」と投稿した地図の切り抜き。
猫が越えると書いて「ねっこ」。他愛無いことだと思う人もいるかもしれないが、ただそれだけのことが猫好きには深く突き刺さるのだ。
SNSユーザー達から
「きゃーー!かわいいっ!」
「何て罪深い地名なんだ!!!」
「大館市の友人の住所が猫鼻でした」
「うちの市には『猫したい』と言う地名があります たぶん狭い土地で『猫ひたい』がなまったのかなあと推測しております」
など数々の声が寄せられる今回の投稿について地理Bの旅さんにお話を聞いた。
ーーこの地名を発見した経緯は?
地理Bの旅:猫が大好きなので、地理院地図で「猫」の付く地名を検索して一つずつ眺めていて見つけました。
ーー反響についてご感想を。
地理Bの旅:猫が好きな皆さんにたくさん見ていただいてとても嬉しかったです。過去にnoteで「不思議な猫地名『猫手(ちょっけ)』の歴史をたどる」という猫地名についての記事を書いたこともあるので、読んでみてくださるとありがたいです。
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伊豆市社会教育課の担当者にも話を聞いた。
ーー猫越という地名について。
担当者:猫越という地名は、「猫越岳」「猫越峠」「猫越川」などの山や川を表すとともに、麓の集落も指します。猫越がもともと山を指す名称であったのか、麓の集落を指す名称であったのかは不明です。
ーーその由来は?
担当者:地名の由来も不明ですが、『天城の地名』(天城湯ヶ島町教育委員会、平成2年)には「ネッコには山の根っこ、ねっこ草、根掘じ〔ねこじ〕の説がある」とあります。ネッコという地名が文字で確認できるのは、今のところ、江戸時代後期、寛政12年(1800年)に編纂された地誌『豆州志稿』が一番古いもので、「猫児越」の表記があります。また、西伊豆町八重野橋を渡った古道登り口にある馬頭観音像(石造物)には、文政2年(1819年)「一色邑右ねっこ道」とあります。(天城湯ヶ島町文化財保護審議会編『天城の地名』天城湯ヶ島町教育委員会、平成2年、伊豆学研究会編『伊豆大事典』羽衣出版、平成22年、「猫越越街道」の項)
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猫越岳は、天城峠から西に向かう伊豆山稜線歩道上にあり、四季折々の景観が楽しめるということ。猫好きの方、地理好きの方はぜひハイキングに訪れていただきたい。
今回の話題を提供してくれた地理Bの旅さんはこれまでnoteやX(旧Twitter)に投稿してきた内容をもとに書籍の出版を準備中。地図や地理にご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
なおインタビュー中でも触れたサイト「地理院地図」は、国土地理院が保有している地図情報の数々が紹介されているだけでなく、誰でも自由に素材として利用できる。地図素材が必要になった際はぜひご活用を。
【地理Bの旅さん関連情報】
▽Xアカウント
https://twitter.com/chiri_b_geo
▽noteアカウント
https://note.com/chiri_b_geo
【地理院地図】
https://maps.gsi.go.jp