結束バンドでお腹と尻尾をくくられ放置された子猫 通報で繋がった命が家族に笑顔を運んでくれた

渡辺 陽 渡辺 陽

結束バンドでくくられていた子猫

ニコちゃん(オス・生後6ヶ月)は、熊本県芦北町で、結束バンドでお腹周りと尻尾をきつく縛られていた。たまたま犬の散歩で通りかかった人が発見し、すぐに警察に通報、保健所に連絡して保護されたという。

動物病院で診察してもらうと、生まれて間もない頃に結束バンドでくくられたようだった。お腹周りは奇跡的に異常がなかったが、尻尾は膿んで腫れていたため、診察後すぐに断尾手術をすることになった。

きれいな瞳の可愛い猫

鹿児島県に住む黒崎さんは、たくさんの猫を飼ってきたが、当時はシロちゃんという猫1匹だけになっていた。
「もう1匹飼いたいなあ、飼うならペットショップではなく、絶対保護猫がいい―と思っていた時に、水俣保健所のインスタグラムでニコを見つけたんです。すごく可愛らしい顔で、きれいな瞳をしていて、この子をお迎えしたい!と強く思いました」

黒崎さんは、家族と相談して保健所に行った。保健所では、ニコちゃんの尻尾の状態やワクチンのこと、住まいのことなどいろんな話をした。保健所にいる猫を譲渡してもらうには、いくつか条件があり、審査に通った人しか讓渡してもらえないことをその時初めて知った。

6月9日、正式に譲渡が決まり、水俣保健所にニコちゃんを迎えに行った。初めて会えて嬉しさが込み上げた。同時に、隣のゲージには里親を待っている猫たちがいて、とても複雑な心境になったという。
「この子たちも、早く里親が決まるといいなと心の中で思いました。ニコを連れて帰ると子どもたちは大喜び!ニコは、大人しく周りの様子を伺っていました」

メスだと思ったら・・・

ニコちゃんは、保健所にいる時はジャスミンちゃんと呼ばれていた。アラジンに出てくるジャスミンに因んでいる。黒崎家では、みんなをニコニコ笑顔にしてくれるから。ニコという名前にした。

メスだと聞いていたので、先住猫のシロちゃんとも仲良くできると思っていた。しかし、初日からニコちゃんは、シロちゃんを追いかけまわし、手を出し足を出し。「メスだと思っていたら、なんとオスだったんです!まさかこんなにやんちゃな男の子だとは思いもしませんでした」

ニコちゃんは、ゴロゴロ喉を鳴らしてスリスリしては、抱っこをせがんでくる甘えん坊。食いしん坊で、家族が食べている物を、あんこでもドーナツでも果物でも何でも食べようとする。一番大変なのは、動物病院に行った時。毎回先生をシャーシャー威嚇して、普段とは別猫になる。去勢手術をした時も、ずっとシャーシャー怒っていて、注射を打つのも一苦労。
「先生に『ここまですごい子は、なかなかいないよ。ニコちゃんじゃなくて、オコちゃんだね!』と言われてしまいました(笑)」

幸せにしたい

今では、ニコちゃんがいない生活が考えられないくらい存在感たっぷり。黒崎さんは、ニコちゃんと子どもたちがニコニコ笑顔になっているのを見ていると、心が温かくなるという。シロちゃんとの関係はまだ微妙だが、いつか2匹で穏やかに過ごしてくれたらいいなと思っている。
「ニコを見つけ通報して下さったことで繋がった命。ひどい人間のせいで痛くて辛い思いをしてきたニコを、家族として大事に、愛情をいっぱい注いで育てていきたいと思っています。ニコのような辛い思いをする動物が減っていくことを願っています。ペットショップに行く前に、保護猫、保護犬をどうか選択肢に増やしていただけると嬉しいです」

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