車を持たない人にとっては、住む場所を選ぶ時、駅近くの物件を選ぶ方が多いと思います。しかし、駅が近いという理由だけで家を購入すると、思わぬ落とし穴に遭遇してしまう可能性があるようです。
都心エリアに憧れて
Yさん(東海地方在住、40代女性、コンビニパート勤務)は夫(40代、設備機器取り付け業者勤務)と子ども(高校3年生)と3人で暮らしています。
Yさんは友人とショッピングにいくのが趣味で、都心に遊びに行き、喫茶店などで談笑するのが週末の日課になっていました。今の物件は子どものことを考えて、都心からすこし離れた広めの部屋を借りていて、街中に出るには少し時間がかかります。
子どもが小さい時は気にならなかったのですが、手がかからなくなった今は趣味の時間も増えてきたので、住まいの環境を充実させたいと思いました。春になったら息子は大学進学で家を出ていくため、少し部屋が狭くなっても良いので、都心のエリアに引っ越しを検討することにしました。
とにかく「駅近」の物件を
引っ越しをするにあたってこだわりたいところは、とにかく「駅近」という点でした。というのも、Yさんは過去に車の事故を起こしたことがあり、それから車の運転ができなくなっているためでした。
調べているうちに、中古マンションであれば、月々の支払いも10万以内で購入できそうだと知りました。賃貸よりもマンションを購入した方が家賃より安くなるとは考えてもいなかったので、驚きました。きれいにリノベーションされた物件を見ているうち、古い中古マンションに対する抵抗感もなくなっていきました。
最終的には、最寄りの駅まで徒歩6分ほどで行ける、リノベーションされた2LDKのマンションを2000万円ほどで購入することができました。月々の支払いも管理費など入れても9万円程度でおさまります。お値打ち物件に出会え、夫婦とも満足した家探しができたと思っていました。
住んでみて…電車の音がうるさい
住んでみて困ったことは、線路沿いの建物だったため、「電車の音がうるさい」ことです。
マンションは二重サッシになっているので、窓を閉めておけば気にならないのですが、開けてしまうと会話も聞こえないくらいの音の大きさです。
空気を入れ替えたいときには仕方なく窓を開けますが、その時はうるさくてテレビを見ることができません。さらに追い討ちをかけるように、近くに消防署もあるので、サイレンの音がよく鳴り響きます。
内覧時には窓を開けたりして色々確認しましたが、そのタイミングで電車が通ったことがなく、気づくことができませんでした。そもそも、近くに線路があったことをもっと疑っておくべきでした。「金額が安かったのには理由があるんだなと思いました」とYさんは話しています。
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このようなトラブルはよくあるのでしょうか? アルファホーム名古屋株式会社でマンションコーディネーターとして、不動産仲介も担当している川本麻登さんに聞きました。
線路沿いのマンション メリットとデメリットは
ーーこういったマンションは多いのでしょうか?
騒音問題があるマンションは多く存在します。しかし、Yさんのマンションには二重サッシがついているのでまだ良い方だとは思います。
ーー線路沿いのマンションはデメリットが多いのでしょうか?
一概に悪いとは私は思いません。線路沿いは比較的物件価格が安かったり、線路があるので建物が立たないことが多く、日当たりが守られたりします。もちろんデメリットもあり、住んでいる位置にもよりますが、Yさんのような騒音問題に悩まされたり、電車による鉄粉や埃が洗濯物についたりしてしまう可能性があります。
物件探しをしている時に線路が近くにあるのであれば、線路が近くにあるメリットとデメリットをよく考えて物件探しをするのが良いでしょう
◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社 マンションコーディネーターhttps://alphahomenagoya.jp/