能登半島地震、高齢者らの災害関連死をどう防ぐか 進められる「2次避難」…孤立集落は集落単位で ためらう被災者に配慮を

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

「リロケーションダメージ」を防ぐ

特に高齢の方は、居住環境や周囲の人間関係が変わることにより、それまで元気だった方でも、心身の機能に様々なダメージを受け、体力や意欲、認知機能が衰える、日常動作ができなくなる、転倒しやすくなる、肺炎や感染症にかかりやすくなる、メンタルに影響を受けるといった、「リロケーションダメージ」が起こりやすくなり、これが災害関連死につながることもあります。

これは、介護分野では以前から指摘されている問題で、例えば、子どもが地方に住む高齢の親御さんを呼び寄せたら、心身機能が著しく低下してしまったといったことは少なくなく、これと同様のことが、過去の災害時の避難先においても確認されています。

東日本大震災の仮設住宅にうかがった際にも、元気だった高齢者が、環境が変わり、知り合いも少なく、家に籠りがちになって、認知症や寝たきりになってしまった、といったお話を各所でうかがいました。

リロケーションダメージを防ぐには、こうしたリスクがあるということを念頭に、できるだけ、ご家族や周りの方が、積極的に声をかけて交流する、一緒に身体を動かす、生活動作を継続的に行っていただくようにする、そして、体調の変化など気になることがあった場合には、速やかに医療関係者等に相談していただく、といった地道なアプローチが大切になってきます。

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高齢者に限らず、災害時には、たとえどんなにしんどくても、「みんな大変な状況なのだから」と遠慮し我慢してしまい、その間に心身の状態がかなり悪化してしまう、といったこともあると思います。皆さん、今は相当気を張っていらっしゃると思いますが、ご家族が亡くなられたり、自宅やお店が壊れたりといった中で、悲しみや不安を抱えながらの厳しい避難生活は、それはもう、ものすごい負荷が心身にかかり続けている状況ですので、どうかご無理をなさらないでいただきたい、と思います。メンタルのケアを含め、被災された方の心身と生活を支え、再建に向けた息の長い支援を、総力を挙げて行うことが求められます。

発災直後から、ご自身も被災者である大勢の方々が、そして、全国から集まった多くの方々が、昼夜を分かたず、被災者の救済・支援と被災地の復旧に尽力されていることに、改めて敬意を表し、亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被災されたすべての方のご平安と生活の再建を心より願います。

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