【悪質ドライバー】遮断機も警報も無視して踏切突破 鉄道ファンの行為が列車事故を防いだ

竹内 章 竹内 章

現場は見通しの良い踏切。「カンカン」と警報機が鳴り、信号は赤です。遮断棒が降りた次の瞬間、シルバーの車が猛スピードで遮断棒を跳ね上げ、踏切を突破しました。「ドン!」という鈍い音が響き、破損した遮断棒は線路上にせり出した状態に。「このままでは危ない!」。居合わせた鉄道ファンの行動力が列車事故を未然に防ぎました。

鉄道を撮影しようとしてたカメラがとらえた衝撃の瞬間。現場は茨城県鹿嶋市の県道239号線にかかる鹿島臨海鉄道の泉川新道踏切です。12月10日午前11時半ごろの出来事でした。大洗エメラルド号が差し掛かるのを待機していた際、偶然目撃した鉄道ファンのXユーザーほわっち(@AsamaAzusa189)さんに聞きました。

ーー車が通過した後、男性が慌てた様子で向かいますが、ほわっちさんご自身でしょうか。

「はい、私です」

ーー遮断機の破損状況は。

「自動車の通過後、遮断桿(遮断機の棒)が線路側に折れ曲がり、先端が線路中心辺りまで達していました。このままでは列車の窓を突き破ったり、跳ね飛ばした棒が他の撮影者に接触するなどの二次被害が想定できたため、まず踏切非常ボタンを押しました。非常ボタンは列車に異常を知らせるのみで、列車が停止するのではないという知識があったため、列車に向かって大きく手を振り、危険を知らせました」

ーーその後は。

「やがて列車が見え、踏切の手前10mほどで停車しました。乗車していた係員と緊急自動車で駆けつけた鹿島臨海鉄道の関係者に状況を説明しました。幸いけが人や大きな物損はなかったのですが、列車通過後に話を聞かれる可能性があったことから、その場にとどまって撮影を再開し、通過していく列車を見送りました」

ーー無謀運転の車のドライバーへ

「無謀横断で命を落とす方が多くいらっしゃいます。急いでいた理由はわかりませんが、たとえ車とはいえ、機関車と軽自動車ではタイミングが悪ければ確実に命を落とすことになっていたと思います。また、無事だったとしてもその後の賠償の責任も計り知れないと聞きます。周囲への迷惑はもとより、ご自身のその後の人生のためにも二度とやらないでほしいです」

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