流通アナリストの渡辺広明氏が「ビジネスパーソンの視点」から発信する「最新流通論」の今回は「スポーツ観戦」がテーマ。コロナ時代の新たな観戦のあり方について検証した。
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GoToトラベルやイートなど、制度設計の不備で残念な部分も多いですが、顧客は戻りつつあり、ウィズコロナでの旅行や外食のスタイルが確立しつつあります。
スポーツ観戦やコンサート、映画館、美術館などのイベントは、観客数を増やしていくなど対策を取られているものの、GoToイベント事業の割引やクーポンの需要喚起策のスタートは晩秋となりそうです。
私は、今年上限5000人のプロ野球観戦を神宮球場で2回ほどしました。観戦者が少ないため、ファウルボールもゲットできて大変記念になりました。
応援のない観戦は寂しさも感じましたが、球音や内野で観た時などは選手のヤジなども聴き取ることができて、東都大学野球を観戦するような環境でのプロ野球観戦はすごくぜいたくで、アフターコロナでも「サイレント観戦デー」を年に数回実施して欲しいなと感じるほどでした。
私の周りのプロ野球ファンは、テレワークで自宅にいる機会が多く、スカパーやDAZNなどのスポーツ専用チャンネルで、毎日のように生中継を視聴できるため、例年よりプロ野球と身近に接しているとの感想もよく聞きます。
Jリーグでは、名古屋グランパスとauが組んだ5Gによる次世代型サッカー観戦が9月26日に実施されました。自由カメラとAR体験(拡張現実)などを駆使した新しい観戦スタイルの模索も行われています。
スポーツ観戦はコロナ禍で一挙に、顧客ニーズに合わせて多様化した、それぞれの応援スタイルが育ちつつあり、東京五輪観戦スタイルへの試金石になっていくのでしょう。
プロ野球に話を戻すと、パ・リーグはソフトバンクとロッテの直接対決が目を離せない状況です。セ・リーグでは、実はファンであるドラゴンズとタイガースの2位争いのデットヒートで27日からの甲子園3連戦を密かに楽しみにしています。