ドイツで近所の子どもに”おにぎり”をあげたら→現地ママから何度も問い合わせ その理由に「日本人の私もうれしくなる」「炊きたて握り飯はうまい」

宮前 晶子 宮前 晶子

おにぎり専門店が増加している国内はもちろん、海外でもテイクアウトが増え、「おにぎり」は注目の的です。

「うちに遊びに来る近所の子どもたちにたまにおにぎりを握ってあげていたら、「あそこの家のライスはなんか異常に美味い」という認識が広がり、「どのライスを買っているのか教えてほしい」とその親から聞かれること3回目」

Maho Mizoguchiさん(@MMizoguchiStelz 以下Mahoさん)はドイツ・ミュンヘン在住の編集者。娘さんのお友達が遊びに来た際、握ってあげたおにぎりのおいしさを聞きつけた保護者から「どのお米を使えばそんなにおいしくなるの?」と質問を受けたことを投稿したところ、2.1万件のいいねが集まりました。

ドイツでの日本米事情などについて、Mahoさんに取材しました。

海外では、おいしいおにぎりを作るのも大変…

Mahoさんは、「うちの子はライスはぜったい食べないのに、M(娘)のうちみたいなのならまた食べたいと言ってる」と言われたことに対して、「そうでしょうとも、なにせ日本産の炊き立てコシヒカリですもの!」とおいしさの理由を明かしています。

「おにぎりは日本米が最高」
「日本のお米・ご飯が美味しいと言って貰えると日本人の私も嬉しくなります」
「日本のお米は炊いたあとのふっくら含水ピカピカがちがう」
「日本産の米を近所の子に振る舞うとか…神ですか」
「炊きたてコシヒカリの握り飯うまいっすよねー!!」
「そっとスマホを置いて オニギリ握りにいきました。夕飯食べたのに」
投稿は、多くのコメントで盛り上がりました。

実は海外で日本米を入手するのはやや困難、ドイツでの事情については、「日本帰国の際に米を購入したことも過去にはありましたが、コロナで往来が難しくなったこと、送料もずいぶん高くなってしまったことから、現在はほぼドイツで購入しています。でも、私の暮らすミュンヘンでは、『日本産の日本米』はまず見つかりません。大きめのアジア系スーパーに行けばあるけど、ないときもあるという感じでしょうか。日本産の日本米を買いたければ、日本人経営の日本食材店に行くか、オンラインショップを利用するのが確実です。ただ、日本での倍くらいの価格になるので、日本産の日本米を買うのはけっこうな贅沢、というのが在独邦人の統一した意見だと思います」。

広く流通しているのは欧州産の日本米。こちらの方が低価格なので、普段はこれを購入している人が多いのではないか?とMahoさん。また、一番日本米に近いという意見があるのは、デザートであるミルクライスを作るための「Milchreis(ミルヒライス)」。これを普通のスーパーで買い求める人もいるそうです。さらに、「その名も、「Sushireis(スシライス)」という謎の米もありますが…食べたことのある邦人は、なかなか買わないのではないでしょうか」と教えてくれました。

Mahoさん自身は、「贅沢は好まないけど、自分のQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)に直結するとわかってからは、日本米を買うことと、それを炊き立てのうちに食べることは許している」と明かしています。「地元の石川県産のコシヒカリを食べて育ったので、やはり北陸のコシヒカリが一番口に合います。でもいつも手に入るとは限らないので、そのときお店にあるものを適宜選んでいます。今食べているのは『新之助』です」。

ちなみに、ドイツでおいしいおにぎりに仕上げるためにMahoさんは、
・おいしい日本米を選ぶ
・軟水で炊く(ドイツの水道水は硬水)
・炊きたてのうちににぎる
・おいしい塩を選ぶ(※日本産の「のどぐろだし塩」を使っていたがなくなってしまったので、今はフランス産の岩塩をミルで削って使用)
・固すぎず・やわらかすぎずリズムよくにぎる
ことにこだわっています。

また、ドイツの子ども達がたべやすいように、「海苔も巻いていません。魚、海藻、梅干しなどはドイツの子どもたちにとっては、食べるのが難しいことが多いですし、そんなに手間もかけられないので!また、子どもが食べやすいよう、小さめの三角にしています」とのこと。

しかし、保護者からの質問は、「どの銘柄を使えばいいのか?」という話題のみだったそうで、炊き方も違うということにまで思いが至っていないのでは?とMahoさん。お米を炊く際は、「日本で勤めていた会社を退職したときに、後輩たちが欧州対応の炊飯器を贈ってくれたので、それを家宝のごとく大切に使っています」。おいしいお米の炊きあがりを追求する炊飯器も要因のひとつでしょう。

Mahoさんにとっておにぎりとは?の問いには、「間違いなくソウルフードです。私は、おいしい、炊きたてのご飯でにぎられたものをシンプルに食べたいです。自分で作って食べるときも、塩、海苔、胡麻以外はあまり使いません。最後の晩餐は塩むすびをお願いしたいです!」。

故郷の味をドイツで手軽に食べられたら…という在独邦人たちの思いから生まれたレシピ本『ドイツで楽しむ日本の家ごはん』(まほろば社・日本語・ドイツ語verあり)を編集したMahoさんは、最後に「日本のお米は、本当においしいです。世界の人にお米そのものがすごくおいしいんだと、もっと知ってもらえたらうれしいですね」。お米への愛を語ってくれました。

日本は新米の季節。つやつやの炊きたてごはんでおにぎりを作って、大きな口を開けて食べたくなってきましたね。

■Maho Mizoguchi @MMizoguchiStelz
■まほろば社サイト https://www.mahoroba.de

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