飼い主が死去 えさもなく口に炎症を起こしていた7歳の保護猫 甘えん坊は「終生過ごせるお家」を待っている

松田 義人 松田 義人

保護猫の中には、元飼い主が亡くなったり、病に伏したりして行き場を失うケースが後を絶ちません。2022年末、保護猫団体・ねこ友会に保護され、同団体の預かりボランティさん宅に迎えられることになった翠(すい)という生後7歳ほどの猫がいました。元飼い主が亡くなったことで緊急で救い出された猫でした。

遊びが大好きな甘えん坊

保護当初の翠は、元飼い主を失った前後で満足な食事を得られていなかったのか痩せていて、口の中には炎症もありました。

すぐにスタッフは動物病院で治療を行い、現在は改善。最初は初めてみるスタッフに怯えるそぶりを見せていたものの、元々は人間が大好きなニャンコです。ねこ友会のスタッフや動物病院の職員に対し、「味方だ」と認識すると、態度を一変させ、本来の甘えん坊ぶりを見せてくれるようになりました。

その後、翠はしばらくの間、シェルターで過ごすようになりました。もちろん、シェルター担当者にもとてもかわいがってもらい、そこでも甘えん坊を発揮していたと言います。

以前の環境でたびたびそう過ごしていたのでしょう、ケージの中で過ごすことにも慣れており、「ケージの中は怖いところではない。むしろ自分が安心できる場所」ということをよくわかっているようにも見受けられました。

ただし、少々の難点もあります。甘えたいとき、遊びたいときに泣き続けることがありました。高齢で口腔ケアにより歯はありませんが、ドライフードも普通に食べることができるので、生活も元気な猫さんと何ら変わりありません。というより、むしろ他の猫より元気に毎日遊ぶのもまた翠の特徴と言って良いかもしれません。

落ち着きと無邪気さを併せ持った翠

こういった様子を見て、「少しでも早く幸せにつないであげたい」と考えたねこ友会のスタッフは、翠を早々に譲渡会へ参加することにしました。

様々な来場者からケージの中を覗かれ、ビビりまくり鳴いていた翠ですが、ここでも持ち前の順応性を発揮し、やがてどっしりと構えるようになりました。

また、ねこ友会の里親募集情報を見て、同団体の元へ対面に来る人の前でも、当初はやっぱりビビりますが、時間が経つとすぐにまた本来の明るい姿を見せてくれるようにもなりました。

大人猫としての落ち着きと、子猫のような無邪気さを併せ持った翠。この性格であれば、新しい家庭でもきっとすぐに馴れてくれることでしょう。

「今度こそ『ずっとのおうち』に繋げてあげたい」

最初は痩せ気味だった翠ですが、現在では、ふっくらとした健康的な体形になりました。おやつが大好きな翠の猛アピールを前に、預かりボランティアさんもついつい甘やかしてしまう毎日ですが、ねこ友会では、このように翠を思い切り甘やかせてくれる里親希望者さんを引き続き募集中です。

大好きだったであろう元飼い主との突然の別れを経験した翠。預かりボランティアさんは今日もお世話をし続けながら「今度こそ『ずっとのおうち』につなげてあげたい」と里親希望者さんとの出会いを待ち望んでいます。

ねこ友会
https://nekotomokai.amebaownd.com/

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