日本のIT人材の給与は、IT大国である中国や成長著しいシンガポールなどと比べて、どのレベルにあるのでしょうか。外資系人材紹介会社のヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社が、雇用の実態調査の結果をまとめた「ヘイズ アジア給与ガイド」によると、トップIT人材やエグゼクティブクラスなど、一部のハイスキル人材の職務の給与において、中国、香港特別行政区、シンガポールが「日本を上回っている」ことがわかりました。
2021年10月~11月の期間に、アジア5カ国・地域の社会人(中国3329人、香港特別行政区1120人、日本1388人、マレーシア2385人、シンガポール1376人)合計9598人を対象として、1148職務の給与水準をまとめた調査結果です。
「トップIT職の年収比較」を見ると、「デジタル化担当責任者」では、1位が「中国・4510万円」でした。次いで2位に「香港特別行政区・2350万円」、3位「シンガポール・2340万円」、4位「日本・2000万円」、5位「マレーシア・370万円」という結果になり、中国、香港特別行政区、シンガポールが日本を上回っていることがわかりました。
また、「エグゼクティブレベルの年収比較」を見ると、「人事担当SVP(HR)」では、1位が「中国・9010万円」でした。次いで2位に「日本・4000万円」、3位「香港特別行政区・3530万円」、4位「シンガポール・3120万円」、5位「マレーシア・1710万円」という結果になり、日本は2番目に多かったものの、中国とは大きな差が出たそうです。
※1人民元/18.02円、1HKドル/14.71円、1マレーシアリンギット/27.39円、1シンガポールドル/84.87円で計算
※給与額は同社実績ベースのデータに基づき、レンジ内の最大給与で比較
「昨年の昇給率」については、「日本」は3%以下の昇給が7割だったのに対し、「中国」(34%)、「香港特別行政区」(64%)、「マレーシア」(62%)、「シンガポール」(64%)でした。
◇ ◇
調査を行った同社は、「コロナ禍を経て、デジタル化が世界規模で加速し、トップの人材への需要はさらに拡大しています。世界規模の人材獲得競争が繰り広げられる中、海外の企業は優秀な人材に破格の報酬を支払っています」と説明。「日本の競争力を維持するためにも同一労働同一賃金を初めとする雇用の制度改革を加速し、速やかに賃金を国際水準に見直すべき」と提言しています。