年代を問わずSNSを利用する方が増え、いつでも簡単に必要な情報を得ることができる時代となりました。私たちの生活をより豊かなものにしてくれる一方、SNSによる被害も増加しています。北海道在住のNさん(30代・接客業)は先日SNSに投稿されていた偽ライブ配信で個人情報が流出するという被害に遭いました。
友人がフォローしていた有名人のライブ配信
Nさんはこの日、仕事が休みということもあって家でのんびり過ごしていました。ふとSNSをチェックすると、有名人のAさんがライブ配信をしていました。
Aさんはコロナ禍で困っている人に対して、なんらかの形で支援をしたいと話していて、支援を必要としている人は、コメント欄にキーワードを投稿するようにテロップに出ていたため、新型コロナウイルスの影響で収入が減っていたNさんはキーワードを投稿したのです。
その直後ダイレクトメッセージが届き、支援を受け取るための流れが記載されていました。
見分けがつかない!巧みな手口
Nさんはダイレクトメッセージに記載されていたサイトにアクセスし、メールアドレスやパスワードを入力・設定しました。すると「会員登録完了」という文字が出てきたのです。
よく見るとサイト内に書かれている文章は、日本語として文脈や言葉の使い方に違和感を覚えるものでした。また会員登録後に表示された画面は、クレジットカード情報の入力を促すものでした。
このときはじめてNさんは個人情報を取得するための偽ライブ配信だと気づいたのです。
Nさんが見ていたライブ配信は、あたかも現在Aさんがライブ配信しているかのように見せかけ、実は過去にライブ配信したものを流していたのです。
インターネットで調べてみるとAさんはこのサイトとは無関係だとわかりました。
「多くの人が自分と同じようにコメントにキーワードを残していたこともあり、信じてしまった」とNさんは話してくれました。
1日60件以上の迷惑メールが届く日々
すぐに会員登録を解除したNさんでしたが、とても不安な気持ちでいっぱいでした。翌朝携帯を見るとそこには60通を超える迷惑メールが届いていたのです。
Nさんは恐怖で言葉が出なかった、と振り返ります。
「携帯を見るのが怖い」
「必要なメールを見落としてしまう」
徐々にNさんは大きなストレスを抱えるようになっていきました。
迷惑メールはその後も多数届き、精神的に限界を感じたNさんはメールアドレスを変えることにしました。
Nさんが今回登録したメールアドレスとパスワードは、ネットショッピングでも使用しているものでした。ネットショッピングで不正利用されるのではないかということも不安で仕方なかったといいます。メールアドレスを変更したことが奏功したのか、カードの不正利用の被害は免れることができました。
コロナ禍やSNSの普及により、人の弱い部分にすっと入り込み、巧みに個人情報を抜き取るといった悪辣な行為も横行しています。
SNSはとても便利なツールです。しかしさまざまな投稿がされる今、安全なものであるかどうかを見抜く力も求められます。
人の弱い部分にすっと入り込んでくる偽サイト。SNSとの付き合い方に関する自分なりのルールを決めておくとよいかもしれません。