料理・美容研究家として知られ、1990年代後半に「美白の女王」として抜群の知名度を誇った鈴木その子さん。68歳で急逝してから今年で20年になる。74年に始めた事業は株式会社「SONOKO」として引き継がれ、いまも銀座に店舗を構える。この8日からは体験型の「おいしくダイエット部」を開始。良いものを残しつつ、新たな試みにも力を入れている。
高級ブランド店が集まり、洗練された大人の街、銀座。その一等地に「SONOKO」はある。かつてはその子さんが描かれた特大の看板と銅像が目印になっていたが、2014年からは1階がカフェ・レストラン、2階が店舗兼会員スペースになっている。
その子さんと言えば、やはり美白。ガングロ・コギャルがブームとなっていた90年代に登場すると、その白すぎる顔は強烈なインパクトを与え、たちまちお茶の間の人気者となった。「笑っていいとも」などテレビの人気番組にも多数出演。グッズも売り出され、大阪・梅田にも出店していたほどだ。
美白のイメージが強すぎるが、もとは74年にレストラン「トキノ」をオープンしたのがすべての始まり。母を過食症、息子を拒食症が原因で亡くしたこともあり、80年には独自の食事理論をまとめた「やせたい人は食べなさい」を著し、ミリオンセラーとなった。
その子さんが提唱したダイエットの特徴は1日3食の白米食を中心とするもので、糖質を制限するやり方とは一線を画す。「SONOKO」もブレることなく、これを踏襲。美と健康に配慮した食品やサプリ、スキンケア化粧品など約400種類を販売している。
00年12月5日、その子さんが急逝。カリスマ創業者を失った影響はやはり大きく、業績は毎年5%減と悪化の一途をたどった。その間、社長も7人交代。今期の決算でようやくプラスに転じるそうだ。
宇田川裕昭社長(39)は言う。「会員さんに支えていただいた。なかには3世代にわたって愛用してくださっている。創業者の理念は受け継いでいますが、コミュニケーションが十分でない面があったかもしれない。なので大阪や名古屋などで東京以外でもイベントを増やし、お客様の生の声を聞かせてもらえる機会を設けました」。自身もダイエットに挑戦し、4キロの減量に成功。年齢以上に肌つやも良く、自社の商品の良さを実証している。
この8日からはさらなる新規顧客の獲得を目指し「銀座でおいしくダイエット部」なるものをスタートさせた。これは銀座周辺に勤務するOLをメーンターゲットにするダイエット体験プログラム。「入部者」は手ぶらで通って食べるだけだ。
メニューの特徴は3つ。糖質をしっかり摂取、ノンオイル調理、食品添加物不使用と、これはその子さん直伝だ。ランチ5食、ディナー5食の計10食でお好みのものを選択する。1食500kcal以下で、テイクアウトも可。好きな時間に利用でき、価格は10食分+全メニュードリンク付で10000円(税別)となっている。
毎年12月の命日には大型バスを貸し切り、千葉・成田メモリアルパークへ墓参り。故人の遺志をあらためて確認し合う。
「その子さんの食事しか食べられない人もいる。食べないと命が絶たれるんです。会社をちゃんと続けて行かなければ」。これはSONOKOの社員70人全員の思いだろう。