出産後のMEGUMI、ママタレ需要に「俳優業をしっかりやりたいのに」と悩んだ日々 仕事を断り暇になって始めたこと

磯部 正和 磯部 正和

俳優、バラエティタレント、実業家、プロデューサー、妻であり母――さまざまな顔を持つMEGUMIは、芸能界デビューしてから20年以上の歳月がたつ。そんな彼女の映画出演最新作が、人気漫画家が凋落していくさまを描いた『零落』(2023年3月17日、テアトル新宿ほか全国ロードショー)だ。劇中“売れる”ということに振り回される主人公の剥き出しの感情が痛々しいほどに描かれているが、長く芸能界で活躍するMEGUMIにとって“売れる”ということにはどんな思いがあるのだろうか――。

「とにかく売れなかった」歌手活動

「若いときはやっぱり目立ちたい、売れたいという思いが強かった」というMEGUMI。デビュー当時は歌手を目指し「売れないなんて考えは全くなかった」とある意味スーパーポジティブシンキングで芸能界の扉を叩いた。

歌手になるために、全く自信がなかったというグラビアにも挑戦し、何とかたどり着いた歌手デビュー。しかし結果は「とにかく売れなかったですね。本当に売れないなんてことは想像していなかったので、私にとっては大きな挫折でした」と当時を振り返る。

一方で「やりたいと思っても、売れないと続けられないのがこの業界。どんなに好きでも需要がなければ働けない」と客観的に物事を見る視点が備わったという。自分がやりたいことよりも、相手が何を求めているのか――俯瞰で物事を見ることは、その後のMEGUMIの活動には大きなプラスになった。

「芸能活動以外にも、飲食店などをやるようになったのですが、お客さんがどういうものを望んでいるのか、どうやったら喜んでもらえるのかということの大切さは身に染みています。それはタレントでも同じ。もちろん人間なので、自分の思いはあるのですが、視聴者に喜んでもらえるイコール“売れる”と考えるならば、やっぱりとても大切なことだと思います。映画だってやっぱり多くの人に喜んでもらいたいという意味では“売れて欲しい”という思いは強いです」

出産し、ママタレ需要に悩んだ日々

他者から期待されることをしっかりと形にしていくことで、芸能界の居場所を見つけることができた。テレビをつければ、明るく元気で、それでいてしっかりと毒を吐くこともできる地頭が良いタレントとしての地位を確立していく。同時に俳優という仕事もかけがえのないものとして、MEGUMIの中では大きな存在になっていった。

そんな中、結婚、出産を経験した。歌手活動の挫折から、しっかりと俯瞰でモノを見られるようなセルフプロデュースはできるようになっていたと思っていたが、状況が変わってきた。

「それこそ出産したとき、一気に世の中の皆さんが私のことをママタレという形で見てくださることが多くなっていったことは認識していました。その期待に応えることが大切なのは分かっていたのですが、そのとき私は俳優業をしっかりやっていきたいと思っていたので、ギャップに悩まされました。だんだんと仕事も断るようになっていって、めちゃくちゃ暇になったんです」

考えられなかった同性からの支持

またもや“売れる”という壁にぶち当たったというMEGUMI。改めて「嫌な言い方かもしれませんが“売れていない”と自分が何を言おうが誰も聞いてくれない」と悟った。しかし、今回は若いころとは少し考えが変わっていた。「求められることは受け入れつつ、しっかり自分のアイデンティティとか好きなものを届けたいという気持ちは混ぜなければいけない。そのバランスにはこだわりました」

そのために「仕事がない」という不安に負けないように、アクティングコーチをつけたり、作品を貪るように鑑賞したりと、俳優としての準備をしっかり行った。そんな努力が実を結び、2019年にはブルーリボン賞で助演女優賞を受賞した。

「ようやくここ数年、頑張ってきたことに目を向けてくださるようになってきたのかなという実感があります」と笑顔を見せると、「やりたいことにチャレンジしやすくなってきたという意味では、だいぶ精神的にも満たされているなと感じています」と充実感をにじませた。

グラビアで一世を風靡したときは「ほとんど男性のファンの方でした」と笑顔で語ったMEGUMI。しかし今は女性が憧れる女性としてMEGUMIの名前を挙げる人は多い。「デビュー当時からは考えられないですよね」と語ると「本当にありがたいです。すごくうれしいです」と笑顔を見せつつ、「あまりにもバシバシ行くので、男性は私にビビッてしまっているんですよね。もうちょっと男性の方も来てほしいです」とMEGUMI節で締めてくれた。

映画『零落』は3月17日よりテアトル新宿ほか全国ロードショー

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