「特別な子に」なりたかった井上咲楽さん 高校時代は陰キャ、大ブレイクは「ラッキーが重なった…今もすごく不安」

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朝の情報番組から夜のバラエティまで、テレビで大活躍中の井上咲楽さん。“太い眉毛とお団子ヘアの元気な女の子”のイメージから卒業し、「実家が栃木の山奥」「昆虫食好き」「昨年秋の富山マラソンで3時間38分を記録」など、素顔の魅力に注目が集まっています。ブレイクまでの道のりを振り返り、“なりたい自分”にどのように近づいてきたのか、コノコト編集室が聞きました。

中学で“陽キャ” 高校で “陰キャ”

Q.芸能界を目指すようになったきっかけは?

幼稚園の頃、NHKのEテレに出演する子どもたちを見て「こんな特別な子になりたい」と憧れるようになったのが最初でした。小学生のころは、言いたいことも言えない性格で、一人で本を読んで過ごすことが多かったです。

中学でバレーボール部に入って、キャラが変わりました。リーダーシップがあって元気な子たちが多い部活。次第に影響されて、学級委員や応援副団長をするようになりました。周囲にも事あるごとに「私は絶対に芸能界に入る!」と言っていましたね。

高校に入ってからは、アルバイトで東京までの交通費をため、芸能人がスカウトされたとよく紹介される東京・原宿の竹下通りに歩きに行くようになりました。

そんな時、「受かるはずないけど、書類だけ出してみよう」と応募したホリプロのスカウトキャラバンで特別賞に選ばれ、少しずつテレビに出られるようになりました。でも学校では“陰キャ”でした。

違う世界知り 学校のしんどさ軽くなった

Q.夢に近づいた高校時代、なぜ学校では “陰キャ”に?

田舎の学校だったので、小中学校の9年間、周りにいる子はほとんど同じでした。それが高校に入ったら知らない子だらけ。最初の自己紹介で滑って「あ、自分は違う。場所が違う」って思って、暗い子に戻りました。

ひねくれて、あんまり話さないから、周りともうまくいかない。前まで仲良かった子が話してくれなくなったり、悪口を言われたり。行きたくないけど、そう簡単に学校をやめるわけにもいかない。しんどかったです。

救いだったのが、仕事で東京に来て、いろんな大人と話すことでした。悩みを打ち明けたら「すぐ卒業するんだから、どうでもいいでしょ。それでメンタルが影響されているほうが、人生にとって損だから」って言われた時には「私の悩みって、そんなちっちゃいことだったんだ!」って驚きました。

もちろん、しんどい気持ちはそんな簡単にはなくならないけれど、違う世界から自分の環境を見てみると楽になれることに気付きました。

なりたい自分 分からないから何でもやる

Q.昨年は大ブレイクの1年でした。 太眉からの卒業は“なりたい自分”への一歩だったのでしょうか。

番組の企画で眉毛を細くしたんです。そしたら「こんなことやってみたら」「こんなイメージはどう?」と周りからいろいろ提案され、「似合うかな?」と思いながらも、試したことのなかった洋服やメークに挑戦するにように。それが新しい仕事につながりました。

もともと、何かを発信したいからタレントになりたいというのではなく、テレビに出たいからどうするかを考えてきたタイプ。実際にテレビに出られるようになったのも、眉毛が太いことや、実家が田舎というのを取り上げてもらってラッキーにラッキーが重なったからで、自分の実力ではありません。仕事をいただいている今もすごく不安で、本当は何がやりたいのか、何が好きなのか、よく考えています。

でも今は、自分のことが分からないからこそ、何でもやってみようと思っています。昨年は再現ドラマやナレーション、趣味では蝋を使ったスタンプやしめ縄づくりにも挑戦しました。一つ一つはまだ浅いかもしれないけど、自分の幅を広げられているし、今は何でもやってみることが楽しいと思えています。

踏み出すことで整う 心のバランス

Q.自分探し真っ最中の小中学生たちにアドバイスを。

やりたい事や好きな事が分からなくなった時、私は「SNSに載せなくてもやることってなんだろう」と考えるようにしています。誰かに見られなくても、どこにも発信しなくてもやること。私は手を動かして何かを作ること、ぬか漬けを作ること、走ることでした。

今は週3回、10キロずつ走っています。マラソンはゴールに向かって走れば進むし、足を止めれば止まる。運もあると感じている仕事とは違い、マラソンは練習した分が結果に表れます。だから走ることで、心のバランスが整ってくるんです。好きな事は人それぞれ違いますが、きっと心の安定や自信につながるはずです。

飽き性を直そうとすることも、あきらめました。以前の私は、SNSで憧れるものを見つけても「また飽きるのかな。うまくいかないとショックだから」と手を出せないでいました。でもやってみるようになったら、うまくいかなくても、やらずにもやもやするよりずっと気持ちが楽になりました。多分「やってみよう」と思えた時点で、変われたんだと思います。

いのうえ・さくら 1999年、栃木県生まれ。2015年、第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン特別賞でデビュー。2020年12月、番組の企画で太い眉をカットしイメージチェンジ。現在は多数のバラエティ番組にレギュラー出演し、テレビ朝日系の長寿番組「新婚さんいらっしゃい!」のMCも務める。

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