二月、寒さの中にも春の兆し! 雪の下に新たな春が育っています

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厳しい寒さの中二月に入りました。節分、立春と新たな季節への期待が高まります。冬の厳しさに耐えてきたからこそ、寒さほどける春の到来は待ち遠しいものです。まだまだ続く寒さの中で、ハッと春の息吹を感じさせてくれる、それが小さな草花たちではありませんか? 雪に埋もれた冷たい中で新たな花を着々と準備している、そんな期待をもてば、きっちり首に巻いたストールに顔をうずめながらも、前をむいて春を待てそうです。早春を告げる花、見つけに行きましょう!

白梅 一輪の花と一枝


「福寿草」雪の下で蓄えたのは力

「福寿草」なんともおめでたい名前です。ここには「幸福」と「長寿」の願いがこめられています。鮮やかな黄色の花を黄金にたとえ「幸福」に、花の期間が長いことを「長寿」にとの声も聞こえてきます。

《花よりも名に近づくや福寿草》 千代女

名前のめでたさと旧暦の元日頃に咲くことから「元日草」とも呼ばれています。新暦の現在では花の時期を調整して栽培され、正月の飾り花として、はなやかな彩りを添えています。自然の中での開花は二月に入ってから。雪の下でじっと花の時季を待っているようです。

《福寿草雪をかぶりて金ほのか》 山口青邨

《たくはへし月日を金に福寿草》 山田弘子

真っ白な雪の中から現れる金色の花は、太陽の日を浴びて輝き、人々に明るい季節の到来を知らせてくれます。

《福寿草家族のごとくかたまれり》 福田蓼汀

ぬくもりと優しいともしびを福寿草が人々の心に灯しているのでしょう。

《地面から宙がはじまる福寿草》 宮坂静生

宇宙までも広がるエネルギーを福寿草から感じ取っている、発見の喜びが伝わってきます。
春を待つのは幸せです。長い冬を乗り越えて咲く福寿草に強い力を感じながらなら、なお素敵ですね。

福寿草 早春の息吹


雪の中で春を待つ「待雪草」

「待雪草を摘んでおいで!」と雪一色の銀世界の森へ追いだされていく少女のお話、読んだなぁという方も多いことでしょう。ボヘミアに伝わる民話でロシアのサムイル・マルシャークによる『森は生きている』で広く知られています。春にならないと咲かない「待雪草」を真冬に摘めるはずもなく途方に暮れている中、暖かな焚き火を囲む十二月の精霊たちに助けられて「待雪草」を持ち帰り、少女は幸せへと導かれます。

白く小さな花が頭を垂れるようにうつむく姿はなんとも可憐ですが、降り積む雪の重みに耐える強さとも感じられましょう。理不尽な言いつけに耐えて乗り越える主人公の少女の面影とも重なります。

《スノードロップ春告ぐ花として白し》 山崎ひさを

現在では「スノードロップ」という呼び名の方が一般的なようですが、春を告げる花としての存在は変わりません。春の兆しというのは「待雪草」や「スノードロップ」の姿のように本当にささやかなところからやって来るようです。

待雪草・スノードロップ


春を実感する花といえばやはり「梅」

「梅」は冷たい空気の中で香りを放ち、他の春の花にさきがけて咲くことから「春告草(はるつげぐさ)」や「花の兄」ともいわれています。春の到来を象徴する花です。

《梅一輪山を圧して咲けりけり》 山口青邨

とはいえ寒い冬にはばまれ、そう簡単に春は来てくれません。そこで待ちかねた人々が春を探しにでかけたくなる気持ちをこめたことばに「探梅」があります。冬も終わりの季語です。

いまだ寒い冬にもかかわらず、どこかで早咲きの梅が咲いているのではないか、と期待を込めて冬枯れの野原や雪の残る山を歩こう、という意欲に溢れたことばです。とはいえ、兆す春をいち早く見つけて喜びたい気持ちとは裏腹に、寒さの中に出かけていく心細さもまた感じられ、人の心の奥深さを内蔵したようなことばとなっています。

《探梅のこころもとなき人数かな》 後藤夜半

《探梅や降りし電車の戻りゆく》 佐藤至朗

二月の別名に「雪解月(ゆきげつき)」や「梅見月」があります。雪解けと梅の花、冬と春の境目で春を待ちつつ今少しの寒さ、と耐えていく人の心が月の名前に表れているようです。
「如月」は「衣更着(きさらぎ)」。寒さのためにもう一枚ころもを着る時。必ずやって来る春を思いつつ、衣をはおってゆったりとしていれば、やがて春を告げる花に出会えるでしょう。花は新たな季節とともに咲く時を待っています。

太宰府の飛び梅

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